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《霞飛び②》第四回

「まあ、分からずとも今はよい。前と同じように飛び降りてみよ。何かが違う筈じゃ…」

 最後にそう云うと、幻妙斎は反転して左馬介に背を向け、ゆったりといつもの円座上へ座った。(かたわ)らに付き従うように眺める獅子童子が、ひと声、ニャ~と低く鳴いた。左馬介は、操り木偶(でく)のようになった。幻妙斎の言葉には妖術がかけられているのであろうか…。今日も飛び降りる岩までフラフラと登った。僅か五尺ばかりの高低差だから、そうは手間取らない。飛び慣れているから、左馬介はそう意識することなく一度目を飛び降りた。刹那、フワッと身が浮いた。すると、着地したとき草鞋(わらじ)裏に受ける感覚が心なしか柔らかいことに気づいた。その違いは、こうだ…と明確に云えない程に微妙な違いに思える。いや、気の所為(せい)なのだ…と左馬介が云えなくもない微妙さなのである。では、何ゆえに柔らかく感じたのだろう…と左馬介は、ふたたび登りつつ考え、そして飛び降りた。そうか…、暗闇を越えて奥まで巡った洞窟の道中の行程に、その答えがあるのか…と、左馬介は思い至った。着地した瞬間であった。今迄と何が違ったのか…と、左馬介は自らに問うてみた。三度目を飛ぼうと登りについた時であった。

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