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《霞飛び②》第三回

 幻妙斎はそう云うと、高らかに肩を揺らせて笑い続けた。何が面白いのか、左馬介には分からない。疾風(はやて)の如く現れ、そしてまた疾風のように消え去った幻妙斎である。行者の回峰行、忍びの修行、軽業など、様々な技を身につけ、更に今さえも修行に努める者ならば、幻妙斎の如き身の(こな)しも容易なのだろう…と左馬介は巡った。

「今、そなたが歩んできた道は暗黒の闇ゆえに何も見えなかったであろうが…。(わし)がそなたの前より消え失せ、今こうしておるのも、その道理よ」

 そうは云われても、左馬介には幻妙斎の言葉が解せない。

「ははは…、すぐには分かる筈もない。まあ、十年も経ち、ふたたびこの地へ来るようなことがあらば、その時は分かるやもしれんがのう…」

 右手に杖を突き、左手で顎の白髭を撫でつける幻妙斎が静かに語る。左馬介は師にそう云われたことで多少、安堵した。幻妙斎の云う内容が今一、解せないから、(いささ)か自己嫌悪に陥ったのだ。幻妙斎の言葉は左馬介の雑念を払拭した。幻妙斎がそう云うのなら、そうなのだろう…と、左馬介には思えた。師の力は絶大であった。

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