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《霞飛び①》第二十九回

「そりゃ、そうでしょう。代官所から下賜(かし)される金も続いているんでしょ?」

「ああ、それか…。それも有るのよ。だから、入り用より出用で困るくらいなのだ」

「贅沢な悩みじゃありませんか。商人(あきんど)ならば御の字なんでしょうがねえ」

 鴨下と長谷川は顔を見合わせ高らかに笑った。左馬介も、その笑いの輪へ加わった。

 次の朝、いつものように妙義山へ出かけた左馬介が洞窟へ入ると、いつもは灯っている筈の燭台の火が点けられていない。中は全くの暗黒の闇であった。その時、どこからか幻妙斎の声が降り注ぎ、左馬介の両耳へ届いた。

「左馬介…。飛び降りの妙は、この洞窟の今に隠されておる…。(わし)の云う意味が今、分かれば、自ずと道は開けようぞ…」

 大きくもなく、そうかといって小さくもなく、しかも何処から聞こえてくるのかさえ分からないのだが、幻妙斎の声であることは疑いようもなかった。左馬介は一端、外へ出て、辺りの樹々に目を凝らした。次の瞬間、左馬介の背後で微かに動く者の気配がした。

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