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《霞飛び①》第十二回

 気の所為(せい)か…と、左馬介が思い直したのは、あれやこれやと今日は考えを巡らせた挙句に結局、的を得ぬ結果に終始したからだった。心身ともに疲れているように思えたからである。玄関を上がろうとした時、遠雷が微かに響いた。左馬介はふたたび外へと返して音がした彼方を見た。空には入道雲が、もくもくと湧き上っていた。その何とも豪快な姿に暫し我を忘れて眺めた時、左馬介は夏が到来したことを知らされた。

 幻妙斎が道場の庵にいないことは、つい先程まで左馬介が妙義山で逢っていたのだから、誰の目にも明らかに思われた。当然、左馬介もそう思っていた。ところが、鴨下から妙な話を左馬介は聞かされたのである。

「それが、夕刻ともなると、灯りが…」

 鴨下は、偶然、道場の離れにある庵の前を通った時、確かに灯りが灯っていたのを見たという。

「そんな幽霊話はないでしょう。現に、私はつい先程まで先生とお逢いしていたのですよ」

「しかし、私が見たのは夜の話ですから…。それに、庵に先生がおられたとは云ってないのです」

「先生のお食事は、客人身分ながら今も影番の樋口さんのお役目でしたよね?」

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