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《教示③》第二十九回

「童子よ、いくぞ…」

 微かに左馬介の耳を捉えたその声は、明確に聞き取れぬほどだったが、風に乗って洞窟の外より響いたようであった。疑いもなく、幻妙斎の声であった。声に直ぐさま感応、獅子童子は鈍く、「ニャ~~」とひと声、発し、洞の外を目指して、のっそりと歩み始めた。幻妙斎は、いつの間に岩棚から洞窟外へ出たのだろうか…? 左馬介には、どうしてもその辺りの脈絡が摑めなかった。しかし、そんなことを考えても仕方がない。既に明後日には新たな師の教示が始まるのである。漸く現実に戻った左馬介は、獅子童子に遅れてなるものかと、洞窟を後にした。

 左馬介が道場へ戻ったのは申の下刻であった。いつもなら、夕刻になるのだが、今日は幻妙斎が早く終えてくれたお蔭で、日が高いうちに戻れたのだ。道場の門前には、やはり気になっていたのか、鴨下が今か今か…と、左馬介の帰りを待っていた。

「ど、どうでした!?」

 門前へ近づいた左馬介に、鴨下は開口一番、そう訊ねた。

「まあ…後から、ゆるりと話します。取り敢えずは水を一杯、飲ませて貰えませんか」

「これは気づかず、不調法を…」

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