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《教示③》第二十七回

 幻妙斎は傍らの杖を持つと緩慢な仕草で立ち上がり、左馬介のいる側へと向き直った。

「どうれ…。おお、工夫したと見えるのう。箱で水を防ぐ手立てか…。開けてみよ」

 云われるまま、左馬介は手にした木箱の箱部分を、もう片方の左手で持ち上げた。詳述するならば、その前に外箱を括った紐を器用に解き、右手を少しずつ下蓋の中央へと移動して支えながら均衡を保つという一工程を済ませた後である。外側の木箱は逆さになっており、その蓋は気道を確保する為に少し、ずらせていた。内箱は、その外蓋の上に載っている。外箱を外した左馬介は、しゃがんで外箱を下へと置いた。続けて、左手で外蓋の上の内箱の紐を解き、内蓋を外して下へと置いた。少しややこしい手順ながら手慣れた所作で滞ることなく(こな)していく。これが滝壺の中を越えた証しなのである。内箱の中の灯明皿は、油が残り少なくなっているものの、未だ灯芯の火は灯っていた。

「消えておらぬようじゃのう…」

 幻妙斎は驚くことなく、また褒め讃えるというのでもなく、ぼそっと口にした。外箱の蓋の上に置かれた内箱は、(あたか)も、それ自体が燭台であるかのようであった。

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