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《教示③》第十八回

一度は目にしたことがある滝だ。その水量の豊かさと轟々と砕け落ちる(さま)は息を吞むほどに圧巻で、左馬介の足を暫しの間、釘付けにした。

 さて、滝壺は? と見れば、やはり自分の記憶に間違いはなかった…と、安堵する左馬介であった。というのも、もっとも深いところでも首下辺りの水嵩かさであることが実際に確認出来たからである。左馬介の思惑では、滝内の洞穴(ほらあな)へ入る時点は真正面だろうと側面からだろうと、どの位置からでも別によいと考えたから、どうでもよかったのだ。思惑の芯となるのは、やはり洞穴から火の灯る燭台を持ち出す後半である。それは即ち、木箱に入れて滝壺を抜け出す過程を意味した。

 滝壺の岸壁で着物を脱ぐと、左馬介は(ふんどし)姿となり、持ってきた木箱を頭に載せ、風呂敷で首に括って固定した。そうして水へと浸かって進んでいく。取り敢えずは、よく分からないから迂回して側面から滝の瀑水が落下する真下へと接近した。洞穴に入る時は火心配もないのだから、正面から堂々と接近してもいいのだが、やはり失敗出来ないという(おもんばか)りが心のどこか

にあり、そうさせたのだった。

 迂回した判断は正しく、直に瀑水を浴びる衝撃は無かった。

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