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《教示③》第一回

 鴨下の案に重きを置いて、左馬介は明後日に臨もうと考えていた。だが、よく考えれば、小舟にしろ、それを山中の滝まで運んで移動するのは容易なことではない。荷車に載せて運ぶとしても、左馬介一人では難儀に思えた。

「私が後ろから押しますよ」と鴨下は援助を申し出て、長谷川も、「それが、よかろう」と了承した。しかし左馬介としては、果たしてそれでいいものかどうかが分からない。幻妙斎に叱責される恐れも充分にある。要は、一人で乗り越えねば意味がないのではないのか…とも思えた。

 その夜、左馬介は寝つけなかった。ここ最近では珍しいことで、幻妙斎の教えを乞う日は特に疲れて、不眠になることは、まず無かった。それが、今夜は眠れない。寝ようとすると益々、冴えて意識は鮮明になってゆく。それが何故なのかは、左馬介にも分かっている。

━━ 鴨下さんの方法でやってみるか…。いや、待てよ… ━━

 眠れずに冴え渡る頭は、今の左馬介にとっては返って都合がよかった。この時、神の声の如く、一つの閃きが生じた。

━━ そうだ、少し物事を深く考え過ぎていたようだ… ━━

 左馬介の脳裡を過った閃きとは、木箱のみで滝へ突入することであった。

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