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《教示②》第二十七回

 左馬介に浮かんだ策は、二、三あった。しかし、突き詰めればその(いず)れもが不可能なように思えた。一つの策は布切れか何かの遮蔽(しゃへい)物を持参し、それで覆って出る…という策である。それだと確かに火を消さずに出ることは可能なのだ。覆ってあるから瀑水を撥ね返し、燭台の火は消えない筈だ。しかし、要はそこからなのである。首近くある滝壺の水嵩(かさ)の中を、手に持って抜け出ることはまず至難の業であろう。特に瀑水が落下する真下の辺りは、火が危ういどころか自分の身さえも危ういと思えた。ということで、次に考えられる策は、木の小舟を準備して滝へと突入し、燭台もろとも左馬介も舟に乗り脱出するというものである。この場合も勿論、覆う布などは持参する。では、この策で何か危うい点があるだろうか…と、左馬介は考えた。そして、一つの問題があることに気づいた。それは、舟を移動する手段であった。移動するとは勿論、舟上で漕ぐことを意味した。洞穴(ほらあな)へ侵入する時は手に何も持たずともよいから()は漕げる。だが、問題は洞穴より出る時で、布等で包んだ燭台を手に持って舟に乗り、櫓を漕ぐという運びになってしまう。燭台の火を消さぬように安定させる…という点を考慮に入れれば、最小限、片手で持たざるを得ない。

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