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《教示②》第二十六回

「お疲れでしょう。風呂を沸かせておきました。…それに夕餉の膳も整っておりますよ」

「それは畏れいります。さっそく頂戴致ししょう。今日は少し気疲れもありますから、随分と助かります」

「そうでしたか。それはよかった」

 二人の間に、そんな他愛もない会話が交された。左馬介は直ぐに話を切り出せず、少しずらすことにした。間合いが悪いというか、この場で直ぐ話せる内容ではないと判断したこともある。

 風呂を浴びると、それまでの疲れが消えていくような心地であった。道場の風呂場は、四、五人が入れる箱風呂の浴槽だったから、道場が賑わっていた頃は、浴槽に浸かりながら瞼を閉じ、そして想いに耽るというような悠長なことは出来なかった。だが今では、僅かに三人が交互に入るだけの人数に減っていた。客人身分の者達は、表立っては御客人として木札を掛け、道場に籍を置いているものの、宿泊以外は三人と顔を合わせられぬ決めがあったから、忍び衆のような存在なのだ。故に、当然のこととして、風呂も銭湯、或いは手間賃稼ぎの街屋で済ませていたのである。

 湯に浸かると疲れも取れ、名案が浮かぶ浮かばぬは別として、思慮は、ゆったりと出来た。

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