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《教示②》第二十五回

夢の中の左馬介は瀑水を全身に浴びて滝壺にいたのだ。その滝と現実の滝は少し違うようであったが、それでも、滝壺は夢と同じように存在した。幻妙斎が云った滝は、恐らくその滝なのだろう。だが一つ、左馬介の心に(わだかま)るのは、何故(なにゆえ)、幻妙斎は左馬介がその滝を知っていることを分かったか、である。

━ …登ったところに滝がある。それは、そなたも知っておろう… ━

 幻妙斎の言葉の一部が、左馬介の脳裡に甦っていた。

 幻妙斎の厳命である以上、それを(こな)す以外にはない…とは、左馬介も思う。しかし、今度ばかりは妙案が浮かばない。砕け落ちる瀑水と池の如き滝壺の中を、如何にして火を消さず燭台を持ち出すというのか…。左馬介は皆目、分からなかった。だが、幻妙斎が命じた仕掛けなのだから出来ないことではないだろう。さもなくば命じなどはしないのだから…。そう考えれば手立てが浮かぶまで想いを巡らせるのみである。明後日の妙義山へ出向くまで、という制限があるから、のんびりと構えてはいられない。当然、道場

へ帰って鴨下や長谷川にも手立てを考えて貰わねば…と、左馬介は帰路の細道を歩みながら思っていた。

 左馬介が道場の門を潜り、井戸で足を洗っていると、後ろから鴨下が声を掛けた。

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