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《教示②》第二十三回

 この時点で、既に左馬介は手に受けた衝撃により木切れが真っ二つに斬れたことを感知する能力を身につけていたのである。そして、駆けだそうとした矢先、幻妙斎の掠れた声が樹上より響いた。

「左馬介! 暫し止まれい!」

 左馬介は駆けている途中で、まさか幻妙斎がこえをかけてこようとは微塵にも思っていなかったから、心の乱れが一瞬、起こった。それは取りも直さず、“隙”と呼ばれるものに他ならなかったが、そう考える余裕もなく、左馬介は立ち止まると辺りを見回した。しかし、幻妙斎の姿は皆目、見えず、存在する気配すら感じ取れないのである。

 左馬介は、もう一度、辺りを見回した後、ふと樹上に視線を向けた。すると、遥か頭上の太枝に立つ幻妙斎の姿が見えるではないか。左馬介は思わず息を飲んだ。というのも、如何にして、あのような高い位置に幻妙斎が立てたのかが推測出来なかったからである。これは、左馬介ならずとも、誰もが推測不可能な絵空事に他ならなかった。

 左馬介は今迄にも幻妙斎のそうした出現の場に出食わしたことがあったから、驚愕するとまではいかなかったが、それでも突然の予期しなかった驚きという雑念は起こった。

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