表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
339/612

《教示②》第二十一回

 叱責はいいとしても、今一つ、幻妙斎の云わんとすることが解せない左馬介であった。

「今日は疲れたであろう。陽が沈まぬうちに早う帰って休むがよい」

 少し怒ったので(なだ)める積もりなのか、幻妙斎は優しく言葉を閉ざした。辺りはふたたび静寂に覆われ始めた。左馬介は岩棚にを仰ぎ見て一礼し、洞窟を退去した。既に陽は西山の一角に没しようとしていたが、妙義山の中腹からは、未だ暮れ(なず)んで見え隠れしていた。

 その後、左馬介に課せられる幻妙斎からの指示は途絶えた。左馬介はその都度、幻妙斎に修行の開始と終了を告げるのみで、それに対し、首を縦に振り了解の意を伝えるのみの師であった。隔日とはいえ、妙義山へ出向く修行は、駆けては叩き斬り、また駆けては叩き斬る日々の連続であった。だが上手くしたもので、二ヶ月ほど経つと、その要領というものが自ずと備わり、最初の頃よりか四半時ほどは短く回峰出来るようになっていた。それは決して左馬介が、こうしたのだ…と、師に告げられるものではなかったが、以前より機敏に動けるようになったとは、自身も思える左馬介であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ