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《教示②》第十五回

「一日中、駆け巡るのですか? 私ならば、とても体が…」

 鴨下も不可能を見越したかのように云う。

「いや、詳しくは明後日、仰せでしょう。一日中などと、まさか左様なことは…」と否定はしたが、左馬介も心中、決して穏やかではない。幻妙斎の意図するところが摑めない以上、それも、やむを得なかった。

 左馬介の胸中が晴れぬまま、一日は瞬く間に流れた。そして山道を一歩、また一歩と洞窟を目指し進んでいく。この日は生憎、全天を灰色の雲が覆い尽くす冷んやりとした空だった。ものは思いようで、山駆けするならば、気温の上がらないこうした天候の方がいい…と、左馬介は陽の発想へ舵をきった。確かに、陰に籠ったとて仕方ないのだ。幻妙斎が与えた課題は乗り越えねばならなかった。洞窟の中はいつもと変わらず、左馬介が入った折りには幻妙斎は既に岩棚に座していて、燭台があちらこちらに明々と灯されていた。

「先生、左馬介です…」

「おう、来おったか…。ははは…、この言葉も紋切型になったのう。では早速じゃが、此度(こたび)のあらましを云う」

 幻妙斎は次に与える試練の概要を語り始めた。

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