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《教示②》第十四回

 この所作を、遥か上の岩棚から幻妙斎が見下ろすように観ていた。

「出来たようじゃのう…。これで左馬介、そなたの剣が一つ頼もしゅうなったわ」

 そう云うと、幻妙斎は声高に笑い始めた。滅多と笑わない幻妙斎の声が洞窟内に(こだま)して響き渡った。その笑い声が消えると、

「では、次に与うるは山駆けじゃ。この洞を出た山道を左へと行き、その道をひたすら駆けて進めばよかった。所々に、ここと同様の縄が梢より吊るしてある故、それを叩けばよい。斬れれば、ふたたび駆けよ。但し、縄の前で荒い呼吸を整えてはならぬ。…以上じゃ。今日はもういい故、帰って休むよう」

 と長々と告げ、幻妙斎は元の位置へ座し、また辺りの岩に溶け込み、動かぬ人となった。

「明後日、またここへ来れば宜しいので?」

「そのように…」

 珍しく、、妙斎が直ぐに返した。左馬介は座した師を仰ぎ見て黙礼し、洞窟より退去した。

 道場へ帰り、その話を二人に告げると、長谷川が大層、驚いて、

「まるで修験者ではないか、山駆けとは…」

 と、素っ頓狂な声を上げた。

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