表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
331/612

《教示②》第十三回

 左馬介の声に返答はなく、暫くは静寂が辺りを覆った。四半時ほどもその状況は続いたが、突如として、

「そうか…。では観てとらす故、(かた)を示してみい」

 幻妙斎は静かに立ち上がると、下方に立つ左馬介を見下ろして、そう告げた。

 自らの言葉を師が聞いてくれたことに、まずは安心した左馬介であった。約四半時の、なんと長かったことか…。師を仰ぎ見て一礼した後、左馬介は形を示す為、堤刀(さげとう)の姿勢で両瞼を閉ざした。そして、深く息を吸い込むと、その息を静かに吐いた。時はたっぷりとあるのだ。焦る必要など、毛頭ない。左馬介は両眼を閉ざしたまま、集中することにのみ努めていた。風とまでは云えない微かな空気の動きが、洞窟の入口から侵入して流れる。その流れがほんの僅か左馬介の顔を撫でた。しかし、左馬介は、たじろがない。想いが湧くのを打ち消し、心を無にすることに全力を傾注する。やがて、脳裡の全てがサーッと白日夢の如く消え去る一瞬が訪れた。左馬介には、この時ぞ…と考えるでなく閃いた。瞼をキッ! と見開いた瞬間、左馬介の木刀が動き、空を斬った。堤刀(さげとう)の姿勢から一瞬にして木刀を両手に握り、続けて上段に上げた位置から斬り下げる一瞬の連続技である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ