表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
326/612

《教示②》第八回

 背後から長谷川が覗き込んで云った。左馬介はギクッ! として、思わず振り返った。

「なんだ、長谷川さんですか。もう組稽古は終わったんですか? それじゃ次、私が…」

 左馬介が腰を上げようとすると、長谷川は、「いや、お前はいい。妙義山のことがあるだろう」と云いながら、左馬介の両肩を手で押さえつけ、そのまま腰を下ろさせた。敢えて逆らうこともないように思えたので、左馬介は元いた位置へ座り直した。そして、書き込んだ数枚の懐紙を見つつ確認する。

「何やら事細かに書いておるな…」

 長谷川は未だ離れずに左馬介の背後に立っていて、懐紙を覗いてひと言、そう吐いた。この長谷川の纏わりには、流石に左馬介も幾らか腹立たしく思えた。だが師範代である以上、『邪魔ですから…』とは心で呟くのみで直接、云えない。仕方なく、適当に相槌を打って暈し、話を紛らせた。長谷川はそれ以上、深く詰問をせずその場を立ち去ったので、左馬介は漸く安堵して、自らが書いた動作を実際に体現しつつ頭に叩き込んだ。合点がいかない所作は、幾度も遣り直す。そうこうするうちに四半時が流れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ