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《教示②》第六回

 そう云って、ふたたび幻妙斎は杖を片手にして、ゆったりと立ち上がった。

「なんだ? 左馬介。その方、未だいたか。もう帰ったものと思おておったぞ、これは悪いこと致した。今日はもう帰ってもよかろう。…ああ、それから、明日は先程の振りを忘れず繰り返し、身につけておくよう…」

 いつの間に抱かれたのか、幻妙斎の杖を持つ反対の腕には獅子童子の姿があるではないか。左馬介は、その声を耳にすると、師に一礼して退去した。

 師に命じられた第二の課題…それは課題と云うよりか、むしろ眠った記憶を呼び起こす作業と云えた。正直なところ、木切れを叩き斬った、いや、へし折った瞬時に放った自らの剣筋を左馬介は憶えていなかった。道場の庭の柿に吊るした折りも同様である。気合い諸とも叩いたのだから、その感覚を辿るしかない。木刀を、どういった力加減で、またどの角度で動かせたのか…。その軌跡を今一度、(かた)として呼び起こそうと左馬介は思っていた。

 鴨下は上達しないのを別に苦ともせず、日々、長谷川との稽古に汗している。稽古試合で長谷川と対峙した場合、十本のうち二本も勝てればいい類いであった。

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