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《教示①》第二十八回

早く戻らねば微温ぬるま湯になり、長谷川にこっぴどく叱られそうだと云う。鴨下が慌てて去った後、左馬介は一人、膳の前へ座し、黙々と食べ続けた。頭の中は如何にして木切れを叩き斬るか…という、この一点に尽きた。

 早暁、ふと目覚めた左馬介は、一つの方策を思いついた。別に眠眠れなかった訳ではない。熟睡していた筈が、急に理由もなく目覚めたのである。昨日の今日だとすれば、今日は妙義山へ行く必要もない日なのだが、何故か目覚めたのである。それも朝早くくなのだ。左馬介は布団に潜り込んだまま、天井をたじっと見続けた。無論、漆黒の闇なのだから、天井板が眼に見えている訳でではない。

━ そうだ! 先生は(じか)に木切れに触れてはならぬ、と仰せだったが、木刀に手を加えてはいかん、とは云われなかった… ━

 左馬介は木刀の刃先を小刀で削ぎ、鋭くする方策を想い描いたのである。木切れも木刀も木である以上、幾ら瞬時の気合いを込めたとしても、固定されずに揺れ動く縄先の木切れを叩き斬るなど出来ないと、まずそこ迄を考えたが、ならば如何にするかが分からなかった左馬介である。今、それが、ふと浮かんだのである。上手くいくとは限らないが、首尾よくいけば、叩き斬れる可能性もある。

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