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《入門》第三回

 左馬介は、この時ぞ! と思えたのか、皿の串団子を手にすると、三ヶ刺さった団子の二ヶ迄を一気に頬張った。そこへ、(あるじ)がバタついて、また現れた。左馬介は思わず喉を詰めそうになり、咳き込んだ。それを見た主が、急須の茶を急いで茶碗へと注ぐ。

「腹も空いてやぁーしたか。朝は何も食わずに立たれた、と見えやすねぇ…」

 勝手に判断して(まく)し立てる主の態度が如何にも横柄に思え、腹立たしい左馬介であったが、意に介さずにおこう…と、下がらぬ溜飲を無理に一先(ひとま)ず下げることにした。

「溝切宿にゃあ、まだ三里ほどは有りやすが、陽延びしやしたからねえ。日没までにゃ、ゆったり、宿へ着けやすよ」

 峠茶屋の亭主だけのことはある…と、左馬介は思った。地の利には長けていて詳しい。

 茶を啜り、串団子を咀嚼(そしゃく)して喉へ通す。辺りに広がる景観を愛で茶を啜る。その動作を繰り返す左馬介は、立った状態で佇む主のことは忘れているから話を切り出そうとはしない。主も、話の腰が折れてしまい、一人、突っ立っていても仕方ないと思えたのか、また奥へと引っ込んでしまった。

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