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《教示①》第十七回

 道場へ左馬介が戻ると、長谷川と鴨下が掛かり稽古の真っ最中であった。左馬介の姿が廊下越しに見えると、

「あっ! 左馬介さん。偉く早かったですねえ! 夕餉辺りかと思ってましたよ!」

 と、鴨下が大声を投げ掛けた。

「それにしても早かったな、秋月!」

 長谷川も鴨下に続いた。二人共、左馬介は散々に打たれ、(ほうほう)の態で夕刻遅く戻って来るに違いない…と、少し小気味よく踏んでいたのである。それが疲れも見せず、昼前の今なのだ。驚愕(きょうがく)とはいかない迄も、驚くのは当然であった。

「昼餉はどうされます?」

「食べずに持ち帰った握り飯がありますから…」

「そうですか…。こちらもこれからでして」

 鴨下と左馬介の淡々とした会話が続いた。二人の会話を笑いながら聴く長谷川は、首筋の汗を手拭いで何度も拭い取る。そして、(おもむろ)に足を運んで、井戸のある方向へと消えていった。

 堂所で笑い声が響いたのは、それから四半時も経たない頃であった。勿論その声は、左馬介、長谷川、それに鴨下の三人が発したものである。

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