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《教示①》第九回

それでも、あれこれと思いながら微睡(まどろ)み、早暁を迎えた。

 床を抜け、いつもの隠れ稽古をしようと小屋へ向かった左馬介は、未だ薄暗い堂所から小屋へと歩く中、乱れる心境の自分に気づかされた。これでは稽古にならない。軽い素振りに留め、早めに小部屋へ戻ることにした。

 左馬介が朝餉の準備を鴨下と二人でしていると、長谷川が傍らへと近づき、ぼそっと語り掛けた。

「先生よりの投げ文があった。来る月より左馬介が妙義山へ出向く故、各日は稽古を外してやって貰いたいとのことだ」

 左馬介はその言葉を耳にして、幻/妙斎が枕辺へ現れたのは夢ではなかったのだ…と、思い知らされた。

「なんだ…、さも他人事のように云うなあ」

「ええ、そうなんですよ。私も長谷川さんの今の言葉を聞く迄は夢か幻現実かが分からなかったんですから」

「ほおー、そうだったか」

 長谷川は、やや大げさに合の手を入れた。

「さあ、飯にしましょう」

「ん? おお…」

 左馬介はそれ以上、投げ文のことを訊こうとはしなかった。

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