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《教示①》第七回

 幻妙斎が枕辺に現れたれたのは、左馬介が幾度か目覚めた深夜であった。夜は深々と更け、時は既に丁夜(ていや)・四更、丑の刻である。

 うな)されつつも、左馬介は浅い眠りについていた。その枕辺に、ふと声がした。

「左馬介…眠っておるのか?」

 過去に耳にしたことのある声であった。左馬介が薄目を開けると、真上から覗き込む幻妙斎の白髪の姿があった。返答しようとするが、何故か口が動かない。それに似た状況を左馬介は以前、体験したことがあった。それは幻妙斎が幾度(いくたび)か左馬介の前へ出現した内の一度(ひとたび)であった。朧気ではあるが、左馬介の視覚は明確に師の姿を捉えていた。

「御事に云っておきたいことが有る故、()く罷り越した」

 大仰な物云いではあるが、その云い回しこそ紛れもなく幻妙斎であると左馬介を確信させた。しかし、姿と言葉から師と理解した筈が、左馬介は幻妙斎へ返せない。それどころか、臥した状態から上半身を起こせない。どういう訳か身体が金縛りにあったようで、動こうとしても動けないのだった。これが起きて後に、あの出来事は夢だったのか…と、左馬介に思わしめた所以(ゆえん)である。

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