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《剣聖③》第八回

 左馬介も当然、その中の一人として動き始めていた。幻妙斎は(おごそ)かな顔で目を(つぶ)り、座して動かない。いつの間に現れたのか、獅子童子が幻妙斎の膝へと乗り、静かに背を上下させて眠っていた。どちらも両眼を閉じている点では全く同じであった。だが、一方は心地よく眠っているのであり、もう片方は心を研ぎ澄ませ、あらゆる聴こえる音に耳を(そばだ)てているのだった。この違いは次の瞬間、明確に露呈した。

「一同の者、やめいっ!!」

 突如として、幻妙斎の声が場内に突き刺さった。その声量は普段の幻妙斎の声と似つかわしくない大きさで強いものだった。門弟達の動きはふたたび完全に停止した。師範代の井上も今日ばかりは、ただの門弟に戻った様子で、威風堂々とした外見は消え、細々と立っている。

「太刀筋を観る故、竹刀のままでよいから、全員、順に見せよ…」

 そう幻妙斎に云われては、誰もが見せる以外にはない。

「よしっ! 先生が所望された通り、俺の呼ぶ順に形をお見せしろ!」

 井上は俄か勢いづき、威張り口調で言い放った。

「では、神代から…」

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