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《剣聖②》第二十八回

 その場合、不都合なことが一つある。次の出入届を井上へ出すに当たり、その仔細を訊ねられた場合、快く受け答えする方便が浮かばないのである。今回の場合は左馬介が監理番ということもあり、井上も無言で許可印を押してくれたのだが、続けざまでは、やはり不自然に思われる可能性が高く、恐らく訊ねられる公算が高かった。それ故、左馬介は手立てを講じる必要に迫られた。傘を早く返さねばならず、日延べは出来ないから迫られたのである。結局、蟹谷にその矛先は向けられた。左馬介は、蟹谷に頼まれた…と、外出したい旨の訳を井上に伝えた。客人身分である蟹谷とは口を利いてはならない決めがあるから、井上は一応、左馬介に問い(ただ)した。

「ほう…蟹谷さんがなあ。外で頼まれたのであれば、接触を禁じる…との決めは適用外だから、そういうこともあるだろう」

 それ以上は深く井上は訊かなかったから、左馬介は助かった。

「有り難う存じます」

 許可印を押した井上が届を左馬介へと突き出す。左馬介は軽く頭を下げながら礼を云うと、出入届を受け取った。これで万端(ばんたん)が整ったことになり、左馬介としては月初めの閉門日を待つだけである。

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