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《旅立ち》第二十四回

 煎餅のように綿が伸びきった薄布団を素早く畳み、洗い場へ駆けつけると、既に門弟達の大半は洗顔を終え、戻ろうとしていた。

「おっ! 新入り、起きてきたな」

 師範代の蟹谷が、手拭を袴の腰紐へと通しながら、笑って声を掛けた。

「一馬は、半時も前から飯番にかかっておるぞ。お前も顔を洗って早く行け!」

 次に笑顔で声を飛ばしたのは、昨日、道場内の案内をしてくれた大男の神代であった。左馬介は二人への挨拶も程々にして、手早く顔を洗うと、歯も磨かず腕で顔を拭いながら厨房へと向かった。

 朝餉の準備は、一馬ともう一人、一馬の次に新入りであった長谷川修理がやっていたが、この日の朝からは、左馬介が入門したことで抜けていた。と、なると、今朝は一馬が一人で孤軍奮闘していることになる。左馬介は厨房へと急いだ。

 大鍋に出汁湯が(たぎ)り、その中には削った鰹節が(あたか)(かんな)屑のように浮いては沈み、その動きを繰り返していた。一馬は慣れた手つきで小鉢の味噌を箸で木杓に分け入れ、それを大鍋の出汁湯の中へ沈めて溶かし始めた。その所作を味見しながら幾度となく繰り返した。

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