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《剣聖①》第二十七回

 その時、

「お早うございます…」

 と、慌しく小走りしながら、鴨下が左馬介の背に声を掛け、前を横切った。後方から不意を突かれた格好の左馬介だったが、「お早うございます」と、咄嗟(とっさ)に返していた。この感覚は、相手の打ち込む竹刀を受け、そして払った後に打ち返すという剣捌(さば)きにも似ていた。井上も神代も、別に驚くことなく、「おう!」とだけ吐いて鴨下へ応じた。鴨下の方は遅れた負い目があるのか、慌て気味に洗顔などをして三人に追いつこうとしていた。井上と神代は自分の小部屋へと戻っていった。これから朝餉の準備があるから、左馬介は「慌てずとも、いいですよ。私は先に厨房へ行っておりますから…」と、言葉を残して歩き出した。残りの門弟達が対面から、ドカドカと洗い場へ駆けつける。鴨下は漸く顔を拭いながら左馬介の尻に従った。

 厨房へ入れば毎朝の単調な賄いの準備が始まる。最初の頃は覚束無(おぼつかな)かった鴨下の手つきも慣れ、そうは度々、止まらなくなった。左馬介のように流暢(りゅうちょう)と迄はいかないが、それでも失敗がなくなっただけ随分と左馬介も助かっていた。

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