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《剣聖①》第二十一回

 さらに考えを進めれば、千鳥屋の誰と懇意なのか? そして、何が鴨下とその者を懇意にさせたのか? が、気になる。血縁関係なのか、或いは逗留中の偶然の奇縁か…、この二つの場合が考えられた。だが、左馬介の胸中には、考える程のことではない…という、否定的な潜在意識も芽生えていた。

 堀川道場が目と鼻の先に迫っていた。普通の場合と異なり、代官所の招きで全員が出かける宴席に限り、影番が留守居をする決めがあった。無論、それ以外で道場が(から)になる場合は新入りが残る。今回の場合、鴨下にとっては入門の時期がよく、新入りにも(かかわ)らず美味い馳走と酒にありつけたのは幸運であった。影番は云わずと知れた樋口静山だから、都合よく親子で(つら)を付き合わせることもなかった。別に幻妙斎が命じたというのでもなく、決めによるものだから仕方がない。この決めは、道場が開かれた頃より踏襲されているのだが、幻妙斎の所用を(こな)す影番が出来たのは、一馬の言によれば、幻妙斎が六十の坂を越えた頃かららしい。勿論、一馬も誰とはなしに訊いた話だと云うのだから、正確なところは分からない。詰るところは風聞に過ぎぬ…とも考えられた。委細はともかくとして、一行は道場に到着し、通用門を潜った。

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