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《旅立ち》第二十二回

 考えながら箸を止めつつ食べている左馬介に、一馬の鋭い矢が飛んだ。慌てて掻き込む左馬介の茶碗から飯粒の幾粒かが零れ落ちた。

「はは…、そんなに急がずともよいのです。貴方もその内、お慣れになるでしょう」

 と、笑いながら、飯粒を手で拾うと、己が口へと一馬は含んだ。

 (みな)が食べ終えたのは、一馬の云ったとおり、その後、もう暫くしてからであった。動く要領と道場の全てを知り尽くして覚えること、この二つは、新入りにとって必要不可欠なようだ…と、左馬介は膳へ箸を置きながら思っていた。

 門弟達が各自の部屋へと戻り、後に残った一馬が食後の片付けをする。当然、見ている訳にもいかないから、左馬介もそれを手伝う。四半時を費やし、漸く片付けを終えた。

 その間、二人は無言に終始した。話す(いとま)が無かったのである。

 片付けを終え、左馬介は一馬と別れた。自分に割り当てられた小部屋へ戻る途中、行灯の灯りが障子越しに廊下を歩く左馬介の眼に入った。

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