表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
219/612

《剣聖①》第十九回

その点、蟹谷の方は、その責務からは開放されているから、酩酊迄はいかないものの、ほろ酔い状態であった。

 申の下刻、道場の一行は帰途についた。蟹谷は途中、用があるからと鬼灯(ほおずき)街道の丁字路で皆と別れ、葛西宿の方へ道をとった。左馬介には蟹谷がどこへ行こうとしているのかは分からない。だが、一馬は知っていた。

「蟹谷さんは千鳥屋で薪割りの小仕事をしておられるのです」

 歩きながら、後方を歩む左馬介へ聞こえるように一馬が云った。当然、一馬と隊列を組む長谷川や、左馬介の横に並ぶ鴨下にも聞こえている。二人とも知らなかったのか、なるほど…という態で頷いた。

「月に一朱の入り用…ですか?」

 左馬介は振り(かざ)して問うた。

「はい。勿論、その為ばかりではないようですが…」

「へえ~。なんなんでしょうね?」

「それについては()えて云わないでおきましょう。まあ、千鳥屋へ行かれたとき、主人の喜平さんに聞かれれば分かると思いますよ」

 そう云うと、一馬は思わせぶりに、フフ…っと笑い、口を噤んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ