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《剣聖①》第十六回

左様(さよう)…」

 蟹谷は、普段云わぬ言葉遣いで、朴訥に半太夫に答えた。

「おお…、やはり、そうでござったか」

 堀川道場と代官所の繋がりが、出資者と受益者の関係であったとは…。左馬介にしろ、そうした事実は、そう遠くはない過去に知り得た事実である。ただ、樋口静山の勝手気儘(きまま)が理由でないことだけは、疑いがないようであった。だが、よく考えてみれば、こうした馳走をし、道場への出資までするという、そこまでの見返りが代官所にあるのか? という素朴な疑問は拭い切れない。実を云えば、これには道場の誰もが知らない幻妙斎と代官所との過去の深い経緯(いきさつ)があったのである。左馬介にその詳細が分かるのは、未だ何年も先である。

 さて、少しの肌寒さも、盃を重ねるうちに体躯の火照(ほて)りですっかり苦にならなくなった門弟達は、気も(そぞ)ろであった。最初の内は、代官側と道場側に分かたれた明瞭な垣根も、酔いが回るとともに取っ払われ、雑然とした様相を呈しつつあった。左馬介と一馬は久しぶりに落ち着いて話を交わす機会を得ていた。酔いを醒ますと云って幕外へ出ると、二人は少し離れた草叢(くさむら)へと腰を下ろした。

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