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《剣聖①》第十三回

最後尾を進む初参加の左馬介には、梅林の位置そのものが分からない。隊列が止まったので、もう着いたのか? と、安直に思った。

「ん? …梅林は未だ十町先なんだけどな」

 前の一馬が怪訝な表情で、そう云った。左馬介もその言葉で事の異変を察知した。

 堀川道場と梅林、その梅林と代官所を(つな)ぐ一本の道は、俗に鬼灯(ほおずき)街道と呼ばれる細道である。この街道は物集(もずめ)街道と同様に溝切宿から葛西宿へ通じるもう一本の街道だった。ただ、この街道は、街道と呼ぶには余りにも物騒で、時折り追剥(おいは)ぎが跋扈(ばっこ)する危険極まりない道であった。追剥ぎに殺された霊を鎮める鬼灯を誰とは無しに手向けたことが切っ掛けで、いつの間にか俗に鬼灯街道と地の者は呼ぶようになっていた。それ故、街道などと呼べぬ一本の細い林道だというのが実のところだった。

 さて、何がその鬼灯街道の前方で起こったのか…は、直ぐ分かった。街道に(うずくま)る一人の若い旅女が、堀川一行の隊列を止めたのである。

 二列縦隊が止まったことで十名は崩れ、団子状態で入り乱れた。十名というのは、例の如く、樋口静山がいない為である。

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