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《剣聖①》第六回

 左馬介は幻妙斎の動きを探ってみることにした。確かに、それは難しいに違いなかった。ひと月掛かっても、いや、ふた月掛かろうと…。左馬介の決意は、いっそう強固になっていった。その為には(から)め手から、まず情報の一端を探ることである。

「年末の総当り試合で、先生は(いおり)へ籠られましたが、普段もあちらでお暮らしなのでしょうか?」

 訊くとなれば一馬を置いて他には無い。新入りの賄い番から外れた一馬と話をする機会は減っている。左馬介は一日が終わった夜、一馬の小部屋を訪ねていた。

「私も実際に、この眼で見た訳ではありませんから、しかとは分かりませんが、おられることも有るようですよ…」

「それは、どういう場合なのでしょうか?」

「いや…、そこまでは。それをお知りになりたければ、気長に日々観察される他はないでしょうね」

「なるほど…。そうですか」

 左馬介には、やはり幻妙斎の日常を探るのは至難の業か…と、思えた。その時、ふと、母の蕗の笑顔が脳裡を過った。その後方には、父の清志郎の顔もあった。左馬介は、ここで諦める訳にはいかぬ…と、萎える心を鼓舞した。



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