表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/612

《旅立ち》第十六回

 暗黙のうちに幾らかの金子(きんす)が父より支払われたのを自分が知らないだけなのか、或いは、幻妙斎には別に出資する者がいて門弟達からは金子を受け取る必要がないのか、将又(はたまた)、別の事由によるものなのか…。そうした疑問が消えては浮かび、左馬介は気になりだしたのである。山場下総守(やまば・しもふさのかみ)が、この堀川道場の後見をしており、更には道場に関与するあらゆる諸費を勘定出ししていることを左馬介が知るのは、それから数ヶ月も先のことであった。

「おう、待たせたな!」

 ふたたび、大男の神代が、流れる汗を拭きながら現れた。拭いている布は、雑巾とも見える薄汚れた襤褸(ぼろ)布である。

「暫く後に大広間の方へ来るように…。場所は先ほど回ったから、分かっておるな? 今、皆が着替えをしておるでな。細かなことは、師範代が明日に致せ、と仰せられた故、今日のところは、皆に挨拶だけでもして貰おうか」

「はい!」

 神代の顔を見上げて、左馬介は大きめの声を素直に返した。その返答に満足したのか、神代は微笑んで奥へと消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ