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《旅立ち》第十四回

 但し、この内の一名は地の葛西者らしく、日々、通っているらしかった。故に、日々、身近で寝起きする連中は、幻妙斎と通いの者一名を除く九名となる。無論、幻妙斎に従って身の回りの世話をする者は、(いず)れかがやる風であったが、それは番決めではないようで、幻妙斎自らが命じるらしく、しかも、明確な決めではないと云う。その時の左馬介は、そのことを余り気に留めていなかった。

 ひと通りの案内が済んだとみえ、神代は左馬介を離れの座敷へと通すと、自分は勝手に畳上へ座って胡坐(あぐら)をかいた。更に、左馬介に座れ…と云うでもなく、胡坐を崩しながら両脚をバタリ! と伸ばし、

「…と、まあ以上が、この堀川道場の大まかな有り様だ。云っておくが、ここからは敬語は省く。何か訊ねたき儀があらば、聞こう」

 と、取って代って、急に神代の言葉遣いは、ぞんざいになった。

「これといって、今、すぐには…」

 言葉を濁した左馬介であった。それもその筈で、左馬介は全てに面食らっていたから、気も(そぞ)ろで、訊ねることすら思いつかないのであった。

「ならば、よい。先ほど案内(あない)した小部屋で暫し休むがよい。門下の稽古が終われば、また呼ぶ故、それ迄は体を休めておくよう…」

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