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《旅立ち》第十一回

 すると、入口正面に威風堂々と据えられた衝立(ついたて)の奥から僅かに声がした。

「やっと来た…と、見えるな…。ファ~」

 眠っていたのか、独り言を吐いて欠伸する大男が衝立の後方に立ち、姿を現した。左馬介は意表を衝かれ一瞬は(ひる)んだが、気を取り直すと、馬鹿の一つ覚えの如く、「た、頼もう…」と、噛みつつも小声を出した。

「先生から仰せつかった案内(あない)役の神代伊織(かみしろ・いおり)と申す。そなたは確か…秋月左馬介殿であったな? 以後、ご入魂(じっこん)に願いたい」

 神代伊織と名乗ったその大男は、歳の頃なら兄の市之進よりは少し下で、左馬介から云うなら、七つ八つは歳上の二十二、三に見えた。

「いえ、こちらこそ。宜しく御願いを申し上げまする…」

 裸足(はだし)に薄汚れた袴、稽古着は左馬介でも見たことがないような襤褸(ぼろ)を纏い、髷も手入れが行き届かぬ風情の神代は、両脚を少うし広げた横柄な姿勢のまま左馬介の言葉を聞くと、首を縦に振った。

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