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《騒ぎ》第二十一回

「だな…」

 そんな会話が、隊列を避けた通行人から囁かれた。誰しも隊列が何処へ向かうのかが気になってはいた。しかし、五郎蔵一家の後ろを付いていこうとする者はいなかった。葛西宿では、何が起こったとしても、半時もすれば知れ渡る。それ故、結果など見なくとも、情報は街衆同士、互いに密だから、後をつける必要などなかったのである。

 千鳥屋では、幻妙斎の忠言を聴いた山上が店の者の先頭に立ち、あれこれと指示していた。山上の指示通り、番頭は宿の泊り客を早々に起こし、宿から出立させた。とはいっても、宿泊客は伊勢参りの途中、一つ前の溝切宿で路銀を()られた年老いた男ただ一人だったから、混乱に至る程のこともなかった。今は山上が、五郎蔵一家が殴り込んでくるのを、てぐすね引いて待ち構えているという塩梅(あんばい)であった。

 他に用心棒はいないのだから、必然的に山上が五郎蔵一家の三十二名を相手にせねばならない訳である。無論、山上は明確な相手の数を把握は出来ていなかったが、相手は数十人以上いる…とは、覚悟していた。更に、千鳥屋の者達に危害が加わることを見越して、早暁に、それも暗いうちに闇に紛れて店から逃す手筈も忘れなかった。だから今、五郎蔵一家を相手に待ち構え、対峙しているのは、山上、ただ一人なのである。

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