表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/612

《騒ぎ》第二十回

「いいかぁ!! 恐らくは、千鳥屋の用心棒の仕業に(ちげ)ぇねえ。親分の(あだ)討ちだ。討ち漏らすんじゃねえぞぉ!!」

 政太郎は子分達を見回し、急に怒鳴り声を張り上げた。その剣幕に子分達の気勢もあがり、誰彼ともなく、「オオーッ!!」っと、雄叫びが起きた。総勢三十二名は、(たすき)、鉢巻、手甲、脚絆(きゃはん)の出で立ちで、政太郎が名を呼ぶ順に、土間に積み置かれた刀、数十本を一本ずつ手にすると、戸口から出て行く。勿論、向かう先は、云わずと知れた五町離れた千鳥屋である。戸口を出れば、ざわつきながらも子分達は全員が揃うまで暫し待つ。最後に政太郎、熊次が戸口を出て外へと現れた。その後ろには、いつの間にかお紋の姿がある。

「よぉ~し、行くぞぉ!!」

 熊次が子分達をぐるっと見回して、(いかめ)しく指図をした。お紋が全員の後ろ姿に切り火を打った。カチッ、カチッ! という独特の高い音が辺りに(こだま)した。誰が云うともなく二列の隊列を組

み、堂々と道筋を闊歩する姿は、葛西の街衆の眼を引き圧巻で、腕が立つかは別として、それなりに強面(こわもて)には映った。

「おい、見ろよ。五郎蔵一家のお通りだぜ。どこへ行くんだ?」

「さあ…分からねえ。…でもよう、(たすき)掛けだから、どこぞへ殴り込むんだろうが、仰々しいぜ。そんな相手になる奴がこの葛西にいたか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ