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《騒ぎ》第十七回

「千鳥屋を叩き潰しやすかい?」

「まあ、待て! 政と決める迄は、な。そういや、あの野郎、大の字で寝てやがったな」

「兄貴を起こしやしょうか?」

「フン! 放っておけ。そのうち起きらあ。それにしても、酒の弱ぇ奴だ」

 小言を吐く熊次である。そこへ、お紋が戻ってきた。

「さあ、どうすんだい? お前達!」

(あね)さん、あっしらも親分に受けたご恩は忘れちゃいやせんや。このままにはしやせん…」

 熊次はそう云って、顔を片肘で覆うと、細かく泣き始めた。三下(さんした)二人も貰い泣きしている。その時、ニャ~と鳴く猫の声が天井から小さく響いた。お紋も熊次も、そして三下(さんした)二人も、天井に目線を向けた。すると、あろうことか、天井の片隅には、五郎蔵の首が、下の四人を見据えているではないか。首下からは、ポタッ…ポタリと、畳上へ血雫がしたたり落ちている。皆、声を揃えて、「ギャア~!!」と、絶叫して部屋を飛び出した。

 千鳥屋では五郎蔵が首を斬られ、既にこの世の者ではないことなど、誰一人として知る由もない。今日の泊り客も、五郎蔵一家の若い者に邪魔をされ、ほとんどの客を二町向うの三洲屋に取られていた。

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