表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

5:s

デバイスの画面をのぞき込む。

連絡先交換してる子たちの顔が並ぶ。そこに移る画像は大抵オレとの2ショット写真だ。

たっぷりとデコレーションの施されたこのオレ、三枝ショウの顔。

高校時代に撮ったものから、つい先日ゲーセンで撮ってきたものまで。

それが画面にずらりと並んでいる、はっきり言ってウンザリだ。見る立場にもなれっての。

そんで、誰からもお呼びの連絡は無しっと。

オレは投げ出すようにデバイスを持った右手を前方に投げ出した。そして座っていたベンチの背もたれに思いっきりもたれかかった。

あー、女の子を食いたいなぁ。

……もちろん文字通りの意味ではなく、文字通りに出来ない意味で。

あ、でも時間はちょうど昼時なんで、腹も減っていた。昼飯も食いたい。

しかし食欲と違って、この性欲というやつは訪れるタイミングが読めないというのがクセモノだ。唐突に女の子を抱きたい衝動に駆られることもあれば、目映いほどの美女を見ても何の反応もない、そんな状態がアトランダムに訪れる。

誤解の無いように言っておくが、別に性犯罪を犯したことはない。あくまでも相手の同意を得た上で行為に及んできた。

しかし真っ昼間からこんなにも欲望が強まってるのは、こちらの大学の授業が休みになり、暇を持て余してどうしようもない状態になったのと、昨日の夜から誰も相手にしてくれなかったというのが大きい。たまたまどの女の子も予定が重なっただけのことなのだが。

そしてオレは、とりあえず外の空気でも吸おうと公園に出てきて、ベンチにぶらりと腰掛けている。

もしかしたら暇を持て余している女の子に会えるかもしれないという期待があったのと、実家に籠もりっぱなしだと気分まで曇っちまいそうだと思ったので。

その時、メッセージの着信が鳴った。やった、ミカちゃんか、リサちゃんか、誰でもいい。オレの欲望に応えてくれるなら……

しかし受信されたメッセージは、誰からのものでもなかった。差出人は見たこともないアドレスだった。

本来ならば警戒すべきなんだろうが、その時のオレにはそんな知恵はなかった。オレは迷わずそのメッセージを解読した。どこぞの風俗の宣伝だろうが、それはそれで構わないと思った。

開いた瞬間、オレの視界に奇妙なものが襲いかかってきた。丸三角四角バツが多様な色で彩られた、奇妙な画像のような映像のようなものが見えた。

しかし、それは一瞬だった。改めて画面を見ると、本文も何もないメッセージが残されているだけだった。


オレは思い切りため息をついてそのメッセージを破棄した。

一度期待が裏切られると、余計にその期待に対する思いは強くなる。オレの中の衝動はますます強くなっていった。やばい、このままじゃ性犯罪を犯しかねない。神様

と、そんなオレのくだらない願いでも、ちゃんと聞いてくれる神様はやっぱり存在してくれたみたいだ!

目の前に、やたらグラマーな制服の女の子。

しかもその制服はサイズがちっとも合わず、胸とか腹とかいろんなところが露出している。

こりゃあもう、食ってくれっていってるようなもんだろうが。

そんなのは逆に警戒すべきなんだろうが、オレはもう獣と同じ状態だった。肉を目の前に出されて食いつかない猛獣はいない。

「おーい、そこの彼女ォ!」

もちろんいきなり襲いかかったりはせず、とりあえず声をかけるところから始めるだけの理性は残っていた。

オレの声を待ってたとばかりに、その子はこっちを振り向いて顔を輝かせた。そして軽い足取りでオレの方にやってきた。脚と腰の境界線の辺りまでしか伸びていないスカートが彼女の足取りにあわせてはためき、その中の白い下着が露わになる。

「エロイねぇ、もしかしてその格好のせいで学校追い出された?」とりあえず適当に軽口を叩いてみる。

「うーんと、まぁそんなとこ」

「今ヒマ?ならオレとあそばね?」

「……」彼女はオレの身体をジロジロと見回した。なんだ、男としての見計らいでもしてんのか?

そして顔を上げると、

「っ!?」

「えへへ、あったかぁい」

彼女はオレにぎゅっと抱き着いてきた。そのグラマラスなボディがオレに密着する。

流石のオレも戸惑った、おいおい、いくら何でも積極的すぎだろうw

だがこれで負けちゃ、肉食系男子の名が廃るってもんだ。オレも負けじとそいつの身体を抱きしめた。

「アタシ、寒いの……うーんと、あったかくしてくれる?」

「……おけおけ!」何を言ってるのかは分からなかったが、とりあえずこの先に進んでも問題なさそうだと分かり、オレは自信満々の笑顔で答えた。

「そういえば、まだ名前を聞いてなかったっけ。オレはショウ」

「アタシは、ミサ」

「ミサちゃんか、さぁ、たっぷり楽しみに行こうぜ。あぁそうだ、腹減ってない?昼飯でも食ってから行こうぜ」

「ホント!たのしみ」彼女の笑顔が倍増した。

この場所から駅への道を頭に描きながら、オレは彼女の身体を脇へと寄せて歩き出した。


入ったのはごくごく普通のファミレスチェーンだし、お互いに頼んだのは普通の定メニュー(オレはハンバーグ、彼女はカレーライス)だったが、彼女はその全てを初めて見るものであるかのような反応を示しながら、一口運ぶ度に笑顔になりながら食事を進めていた。「あなたのも分けて!」というのでこっちのハンバーグを差し出したら、半分くらい食われてしまった。そんな彼女の反応への動揺を隠して、男らしく平然と振る舞うのはなかなか苦労がいった。

オレは持ち前のトーク力を活かして様々な話をしたが、彼女は食い入るようにオレの話を聞いてくれた。こっちとしては他愛もない大学生活の話とか高校時代の話とかをしてただけなのだが、彼女は実に楽しそうに話を聞いてくれた。おかげでこっちのテンションも上がってくれた。

ただ、彼女は自分のことをまるで話さなかったので、彼女のことを名前以外ほとんど知ることが出来なかったのは残念だが。

そして食事の後、駅のすぐ近くにあるホテルに入った。さすがに食事代まで含めて、金はオレ持ちだ。

部屋に入ると、そのまま彼女をベッドに押し倒した。そして唇を重ね合わせる。

少し唇をついばむと、そのまま一気に舌をねじり込む。すると彼女の方も舌を絡ませてきた。なかなか積極的な動きだった。これはこっちもやりがいがあるというものだ。

とりあえず彼女が身につけているものを全て脱がせた。シャツは彼女の身体と明らかにサイズが合っていなかったので、脱がせるのに苦労した。

そして彼女は、白い素肌に下着だけを身にまとった姿になる。派手な金髪の割に、下着は飾り気のない純白だった。これはこれでギャップがあって良い。しかしその下着もサイズの合っていないこと。ブラジャーは乳房を包み込みきれず、その膨らみの大半ははみ出してるし、パンツもその大きな尻に食い込み、隠すべきところをギリギリ隠せているという程度だ。

さぁ、いよいよ本番だ。オレは目の前に飾られた獲物にやさしく飛びかかろうとした。


ーソウダ、トビカカレ


おう、今そうしようとしていたところさ。

……ん?


ートビカカレ。ソシテソイツヲ、コノセカイカラケシサレ!


空耳じゃない。確かに聞こえる。いや言葉として認識できる。一体なんなんだこの声は。いや声じゃない、言葉としてオレの頭の中に直接語りかけてくる。


ーオソエ、オソエー


声は、いやその言葉はどんどん勢いを増していく。

やめろ!オレは必死に自分を保とうとするが、その声があっという間にオレを飲み込んだ!


襲え!

ーそうだ、目の前に存在するのは消去対象。

ケしてしまわなきゃ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ