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天球のカラビナ  作者: イツロウ
07-覚醒者の選択-
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 隔離室を出てから10分後

 隼、律葉、ティラミスと別れたクロトは4人の兵士にエスコートされ、審問室に案内されていた。

(ここが審問室か……)

 入り口の向こう側、そこには予想に反した空間が広がっていた。

 壁や床は先程の隔離室と同じく白一面。広さは4畳半ほど、天井までの高さは3mほどといったところだろうか。

 室内にはパイプ椅子と三脚台に固定されたビデオカメラが置かれており、そのカメラのレンズは椅子の方向に向けられていた。

 どうやらカメラ越しに審問を行うようだ。

 イメージとしては裁判所のような場所を想像していたのだが、この様子だと面と向かって話せる機会はなさそうだ。

 まあ、僕の戦闘能力を考えれば距離を置くのは当然のことかもしれない。

 入り口から部屋の様子を観察していると、兵士が指示を出した。

「……審問はすぐに始まる。座って待て」

 そう告げると兵士は入口のドアを閉め、クロトは室内に一人きりになってしまった。

 窓も何もない完全な密室。

 精神病棟の隔離室を連想させる。実際、ここに数週間も監禁されたら気がおかしくなるのは間違いなさそうだ。

(……座ろうか)

 入り口で突っ立っていても仕方がない。

 クロトは兵士の指示通り椅子に座り、拳を軽く握って腿の上に置く。

 視線はまっすぐ前。ビデオカメラの凸レンズには自分の姿が反射していた。

 ビデオカメラの上部にはステータスを示すカラーランプがあり、緑に点灯していた。

 しかし、クロトが椅子に座って数秒もすると赤に変化し、どこからともなく男の声が聞こえてきた。

「――では、これから玖黒木真人に対する審問を開始する」

 クロトは審問開始の宣言を耳にしつつ、声の出処を探る。

 天上に目を向けると円形のスピーカーが設置されており、声はそこから発せられているようだった。

 天からの声は続く。

「まず基本的な確認だが……君は玖黒木真人本人に間違いないな?」

「……はい」

 クロトは上に向けて返事をする。が、早速注意されてしまう。

「マイクはカメラについている。カメラを見て返事をしてくれるとありがたい」

「あ、はい、すみません……」

 クロトは上に向けていた視線を前に戻し、カメラのレンズを見つめる。

 すると再び天井から声が聞こえてきた。

「本来なら面と向かって話し合いたいのだが……今回は君の危険性を考慮してこのような形を取らせてもらった。我々ブレインメンバーは現在別室でモニター越しに君の姿を見ている」

「そうですか……」

 ブレインメンバーの中には律葉や玲奈も含まれている。

 二人共どんな思いでモニターを見ているのだろうか……。

 想像している間も天からの声は続く。

「ちなみに今君がいる部屋は起動ステーション内でも最も外側に位置する場所で、ボタン一つで切り離し可能だ。もし審問中に危険行為に及ぶような事があれば即刻その部屋をパージするのであしからず……まあ、君なら宇宙空間に投げ出されても死ぬことはないのだろうがね……」

「……」

 暴れたりするつもりはないが、あちらの気分一つで宇宙空間に投げ出されるかもしれないというのはなかなか落ち着かない。

 彼の言う通り宇宙に放り出されても死なない自信はあるが、やはり怖いものは怖い。

「……さて、本題に移ろう」

 一通り説明を終えたのか、男性は咳払いをし、真面目な口調で話し始めた。

「ゲイル、パイロからの報告書は読ませてもらった。この内容に間違いはないのだね?」

 ここで嘘をついても始まらない。

 クロトは正直に、そしてカメラの向こうのブレインメンバーに訴えることにした。

「はい。僕は……人類はDEEDと共生できると思っています」

 そう告げた瞬間、天井のスピーカーから他のブレインメンバーと思わしき複数の声が聞こえてきた。

「何を馬鹿な!! DEEDは一匹残らず殲滅だ」

「その通り。作成した計画書通り事を進めるべきだ」

「彼は精神的に不安定な状態にある。でなければこんなバカげたことを……」

 ざわつく中、場を制するように凛とした声が響いた。

「皆さん落ち着いて下さい!!」

 それは律葉の声だった。

 やはりモニター越しに僕のことを見ているようだ。律葉がいるということは玲奈もいると考えていいだろう。

 律葉の一声で場はすぐに静まり、再び男の声が聞こえてきた。

「玖黒木君、我々は人類の救世主である君がそんな発言をする理由が理解できない。我々に理解できるよう、詳しく説明して欲しいのだが」

 確かに、人類を窮地に追いやった侵略者と共存の道を歩むなんて理解するのは困難極まりない。

 それでもブレインメンバーを納得させるべく、クロトは慎重に言葉を選んで説明し始める。

「隼……いや、パイロの報告書を読めばわかると思いますが、僕は記憶喪失の間、彼らと2年以上生活を共にしていました。……彼らは親切で、温和で、人間と全く違わなかった。……今地上にいる彼らと2000年前に襲来してきたDEED。別物として考えることはできないでしょうか」

 人類100億を5万まで減らした罪は計り知れないほど重い。

 だが、それは過去の話だ。

 いま地上にいる彼らは侵略した事を覚えていないし、真実を伝えた所で信じるものなど殆どいないだろう。

 必死に訴えたクロトだったが、すぐに玲奈の冷たい声が聞こえてきた。

「そう簡単に割り切れないわ。真人、あなたにとっては2000年前の出来事かもしれないけれど、冷凍睡眠していた私達にとってはほんの最近の出来事なのよ。……私は家族を全員殺されてる。ここにいるブレインメンバーも多かれ少なかれ家族や友人をDEEDに殺されている。それは真人、あなたも同じはず」

 玲奈は小さく息継ぎし、数秒の間を置いて続ける。

「DEEDの事を憎んでいたでしょ? 絶対に根絶やしにするって約束したでしょ? ……2000年の間に恨みの感情が消えてしまったの?」

「……消えてはないよ。でも、それとこれとは別問題だと思う」

 クロトはカメラのレンズに改めて顔を向け直し、説明を続ける。

「彼らは僕達人類を滅ぼしたことを全く覚えていない。それどころか自分たちが人間だって思い込んでいる。……確かにDEEDは憎い。でも今の彼らには無関係だよ」

「無関係だなんて……」

 玲奈は反論の言葉を述べようとするも、クロトは強引に話し続ける。

「今すぐ分かってくれとは言わないよ。でも、話し合いもなしに皆殺しにするような真似だけはやめて欲しい」

「話し合い? 話し合いですって? 化け物相手に話し合いなんて……馬鹿げてるわ」

 明らかに玲奈は現在のDEEDに対して強い憎しみと偏見を持っており、ちょっとやそっとじゃ説得できそうになかった。

 それでもクロトは根気良く続ける。

「玲奈、彼らの文明レベルがかなり高い域にまで達していることは報告書で分かってるはずだよ。交渉の余地は十分にある」

 ここまで玲奈と激論を交わしていたクロトだったが、不意に男性の声が割って入ってきた。

「交渉できる……その根拠はあるのかね」

 先程の男性とはまた違う低い声。学者さんだろうか……

 クロトは天井から聞こえてきたその声に応じる。

「彼らはカミラ教団という組織によって統率されています。カミラ教団を完全に掌握できれば3000万を自由に動かせるし、情報の漏洩も防げると思います」

「カミラ教団の存在はパイロ君の報告書で知っている。私が聞きたいのは交渉の糸口があるかということだよ」

「それなら問題ありません。カミラ教団には知り合いが……コネがあります。交渉の場をセッティングするのも難しくないと思います」

 知り合いというのは勿論モニカのことだ。

 モニカが駄目でも猟友会の会長カレン・ソーンヒルがいる。彼女ならばカミラ教団との繋がりも強いだろうし、教団のトップと接触することも可能だ。

「なるほど。交渉自体は問題なさそうだ。……しかし交渉するとなると彼らに我々の存在が知られることになる。……危険ではないかね?」

「何をもって危険とするかわかりませんが、もしも彼らが人類を攻撃するようなことがあっても問題ないですよ。何せこちらとあちらとでは圧倒的な戦力差がありますから」

 クロイデル、ゲイル、隼、トキソ、それにビリオンキラーと呼ばれるほどDEEDを殺しに殺した自分。

 これだけの戦力があれば怖いものなど何もない。

 もしも再び宇宙から侵略者が攻めてきてもこのメンバーなら容易く追い払うことができるだろう。

 クロトはそう思っていたが、玲奈はそうは思っていない様子だった。

 玲奈は強引に会話に割り込んでくる。

「事が起きてからじゃ遅いのよ。危険要因は即刻排除。再興の効率化も大事だけれど、今は何よりも安全が重要よ」

「それもそうだが……」

「私は当初の計画通り、あのヒトモドキ共を全て殲滅するべきだと考えます」

 玲奈は言い放ち、それ以降しばらく沈黙が続く。

 どうやらブレインメンバーは悩んでいるらしい。

 ……これはいい兆候だ。

 こちらの予想では玲奈のような考え方のメンバーが大半を占めていると思っていたが、そうでもないようだ。

 やはり3000万の労働力は魅力的だ。しかも戦力差は圧倒的で安全も確保できる。

 問題は榎谷さんの言う“感情”だろう。

 DEEDは人類の敵……この固定概念がある限り不安は拭いきれない。

 頭では3000万の労働力が復興に大きく役立つと分かっていても感情が邪魔をする。

 DEEDに対する恐怖はブレインメンバーに深く刻み込まれている。その恐怖を克服するのは一朝一夕では不可能だ。

 沈黙が続く中、不意に声を上げたのは律葉だった。

「……私は真人の考えを支持するわ」

「ちょっ、律葉!?」

 玲奈の動揺の声を無視して律葉は淡々と述べる。

「今、最も優先すべきはDEEDの殲滅じゃなくて人類の再興だと思います。3000万の人的資源と建物やインフラ設備は魅力的……使わない手はないと思います」

「律葉……」

 クロトにとってこの律葉の言葉は心強かった。

 律葉も両親や友達をDEEDに殺されている。DEEDが憎いはずだ。

 だが、僕を信じてくれた。味方になってくれた。

 それだけで十分嬉しかったし、心強かったのだ。

 そんな律葉の言葉に続くように聞き覚えのある男性の声が天井のスピーカーから響く。

「私も近衛君の意見に同意だ。今は感情論抜きにして人類の再興に専念すべきだと思う」

「そんな、榎谷博士まで……」

 榎谷さんも僕の考えに賛同してくれたようだ。

 ……だが賛成の言葉をくれたのはその二人だけで、他のブレインメンバーは考えあぐねている様子だった。

 そんな中、低い男性の声が聞こえてくる。

「……そこまで言うのなら“確証”が欲しい」

「確証……ですか」

「ああ、DEEDが人間を攻撃しないという確証だ」

 低い声の男性に続くように別のメンバーも意見を述べる。

「そうですな。どんな形であれ“確証”を得られれば労働力の件、考慮するのもやぶさかでない」

「……」

 現時点で完全な安全を約束することはできない。猟友会がこちらを“ヒトガタ”と勘違いして攻撃してくる可能性もある。

 だが、カミラ教団にきちんと話を通せば大丈夫だろう。

 彼らは思っている以上に賢い。メリット、デメリットを天秤にかけ最良の答えを導くはずだ。

 その為にもまずはやはり彼らと話し合いの場を設ける必要がある。

 お互いの立場をしっかりと理解させた上でなら、交渉もスムーズに進むだろう。

 取り敢えずどうしたものか……クロトが考えている間、ブレインメンバー間でも活発に意見交換が行われていた。

「待て待て、勝手に話を進めてもらっては困る。他にも大きな問題があるだろう」

「大きな問題?」

「この件、現在解凍作業中の5万人が納得するかどうかだ。彼らの大半が……いや、全員がDEEDを忌み嫌っている。共生を望むものなど一人もいないだろう」

「その点は問題ないと思います」

 答えたのは榎谷だった。

「DEEDが人の形になったという情報はブレインメンバー以外には知られていません。先に冷凍睡眠から起きた人類が再興を始めていた。クローン技術を使って人口を増やした。……何とでも説明できるでしょう」

 大胆な案だ。

 ……が、こういう嘘はいずれはバレる。

 ブレインメンバーでも同じことを思った者がいたようで、代弁するように述べる。

「私は隠し事はあまり好きではない。それに、5万人に対しては誠実であるべきだろう。もし真実が露見した時、混乱が起きるのは必至だぞ」

「5万人が納得するかどうかの話は今はいい。最も問題なのは我々の安全だ」

 低い声の男は5万人の件を保留し、改めてクロトに問いかける。

「玖黒木君、君は我々の安全が確保されると絶対言い切れるのかね」

「それは……」

 正直、言い切れない。

 狩人の中には血の気の多い者も多くいる。

 仮に5万人が彼らと共生するとして、殺されない可能性がないと言い切れない。

 語尾を伸ばしたままカメラのレンズを見つめていると、助け舟がやってきた。

「……まずは彼らと対話の場を設けてみてはどうです」

 それは律葉の声だった。

 唐突な律葉の提案に低い声の男は聞き返す。

「対話の場?」

「そうです。彼らは未だに私達人間のことを侵略者か何かと勘違いしています。順序立てて正確な情報を伝えられれば彼らも理解を示してくれるかもしれません。……それに、現在の彼らの姿形を見てみれば我々の考えも変わるかもしれませんよ」

「しかし、対話をするにしてもどうやって……」

 ここが正念場だと判断したクロトは素早く対応することにした。

「僕がセッティングします。先程も言いましたが僕にはコネがあります。彼らの代表者を連れてくることもできます。もし安全面で不安があるのならこのようにモニター越しに会話をすることも可能です。どうでしょうか……?」

 クロトの提案を推すように榎谷も告げる。

「みなさん、彼は我々人類を救ってくれた救世主です。そんな彼が人類を危険に晒すような真似をすると思いますか? ……今回は彼に任せてみてはどうですか。最終的に決めるのは我々ブレインメンバーです。DEEDを皆殺しにするのは彼らと対話してからでも遅くは無いと思いますが」

 この榎谷さんの言葉は他のメンバーに効いたようで、メンバーは口々に賛成の言葉を述べ始める。

「確かに、玖黒木君の活躍がなければ我々はとうの昔に死んでいた。榎谷博士の言う通り、対話の場を設けてみてもいいかもしれない」

「戦力差は圧倒的だ。危険はないだろう。それに、人の形をしたDEEDが何を考えているのか興味もある」

「イニシアチブはこちらにある。……判断を急くこともないかもしれないな」

 天井から聞こえてくる声を耳にしつつ、クロトはカメラに話しかける。

「それじゃあ、話し合いの場を設けてくれるんですね?」

 少しの間を置いて低い声の男が告げる。

「ああ、いいだろう。だが、飽くまで対話の場を設けるだけだ。DEEDを殲滅するかどうかはまた別の話……。その対話の場で我々が安全であると“確証”が得られればDEEDの殲滅作戦を再考しよう」

「あ、ありがとうございます」

 どうやらうまくいったようだ。

 これで玲奈の言っていたDEEDの殲滅作戦は先延ばしになる。交渉さえうまく行けば3000万を死なせずに済む。

 ……スヴェンとの約束を果たせる。

 あの時は事を急いたせいで悲惨な結果になってしまった。今回は死人が出ないよう、慎重に動く必要があるだろう。

 今後のことを頭の中で考えていると、不意に男の声が聞こえてきた。

「さて、審問会の結果だが……」

 男は咳払いし、はっきりとした口調で結果を告げる。

「君がDEEDを軌道エレベーターに連れてきたのは反逆行為ではなく、人類の再興を考えてのことだった。方法は著しく規定に違反していたが、人類に危険を及ぼそうという思想は全く無い。……よって玖黒木君、君の行為は不問とする。みなさんもよろしいな?」

 男の言葉の後、「異議なし」という言葉が無数に発せられる。

 男は数を数える必要も無いと判断したのか、即座に次の言葉を述べた。

「では、これにて玖黒木真人に対する審問会を終わる」

 その言葉が終わるやいなや、ビデオカメラ上部のランプが赤から緑に変化した。

 どうやらこれで審問会とやらは終わりらしい。

 クロトは安堵からか、少し姿勢を崩して短くため息をつく。

 すると、そのタイミングで天井からメッセージが発せられた。

「玖黒木君、DEEDの駆除計画は一旦凍結する。我々はこれから5万人の解凍作業で忙しくなる。……1週間以内に対話の場を設けるように」

 そのメッセージを最後に天井のスピーカーからは何も聞こえなくなった。

(1週間後か……)

 何とか対話まで漕ぎ着けたが、問題は山積みだ。

 カミラ教団側にはこれまでの事実を懇切丁寧に教えなければならないし、教えたとしても信じてくれるか怪しい。

 それに対話する場所の選定にも時間がかかりそうだ。

 リリサ達にも説明する必要があるだろうし……果たして1週間で間に合うのだろうか。

 椅子に座ったまま顎に手を当て考えていると、入口のドアが開いた。

「どうやら無事に終わったみたいだな」

 真人は視線を上げ、入口に向ける。

 そこには黒装束に身を包んだ隼の姿があった。

 隼は赤髪を掻き上げ、ニヤリと笑う。

「これで晴れて自由の身だな」

「おかげさまでね」

 クロトは椅子から立ち上がり、隼のもとに向かう。

 隼と合流するとそのまま部屋から出、二人は並んで通路を歩き始める。

 通路に兵士の姿はなく、単調な道がずっと先まで続いていた。

「で、どうだった?」

 早速質問され、クロトは簡素に応じる。

「どうもこうも……僕の審問と言うよりDEEDの処遇を決める会議になってたよ」

 話の主軸は僕の処分というよりDEEDに関することだったのは間違いない。

 ブレインメンバーもDEEDを“利用”するか“駆除”するかで大いに悩んでいるようだ。

 隼はクロトの処遇についてはあまり心配していなかったようで、軽く告げる。

「まあ、この世界でお前を罰せる存在なんて誰も居ないからな。みんなお前の意思の確認をしておきたかったんだろうよ」

「……」

 自分で言うのも何だが、彼らにとって僕は神にも悪魔にもなり得る存在だ。

 少なくとも人類に危害を加える心配はないと分かって胸を撫で下ろしていることだろう。

 ……隼は僕のことをどう思っているのだろうか。

 DEEDと共存するなんて危険な考えだと思っているのだろうか。

 ふと気になったクロトは隼に問いかける。

「ねえ隼、隼は僕のこと……」

「信じてる」

 隼は短く告げると黒いグローブで覆われた手でこちらの肩をポンと叩く。

「何があっても俺はお前の味方だ。これまでも、これから先も、な」

 心強い言葉だ。

 2000年の絆は伊達では無いということだ。

「ありがとう……」

「何だよ気持ちわりーな」

 隼は自分で言って恥ずかしかったのか、足を速めてぐんぐん前に進んでいく。

「……みんな食堂で待ってる、早く行くぞ」

「うん」

 その後クロトは隼に案内され、静止軌道ステーション中央区にある食堂に向かうこととなった。


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