二次創作のデメリット
怪物と戦う者は、その際自分が怪物にならぬように気をつけるがいい。長い間、深淵をのぞきこんでいると、深淵もまた、君をのぞきこむ。
--ニーチェ--
さて、今度は二次創作のデメリットである。
薬も多ければ毒になる。
無自覚に使うのは避ける方がいいのだ。
1.キャラクターに引きずられる
有名所のキャラクターを使うデメリットの最たるものはこれだ。
自分が意図した物語が有名キャラキターに引きずられて物語が制御できなくなるのだ。
メリットの1.に書いた『始まり』と『終わり』が曖昧だと、つじつま合わせに悩んでエターなんて事も。
正直こればっかりは慣れるしかないと思っている。
何度も引きずられて失敗を繰り返したら、初心者卒業である。
2.キャラクターのファン層を敵に回す
これは読者がイメージするキャラクター像と作者が意識するキャラクター像が乖離する事で発生する。
これも『始まりと』『終わり』が曖昧なまま退場させて、キャラクターのファン層だけでなく、退場を望むファン層まで敵に回す。
有名所を使う時にはこれを意識すべし。
3.オリジナルが書けなくなる
二次創作最大のデメリットがこれ。
特に歴史というオリジナルが偉大すぎる。
『昨日宰相今日JK明日悪役令嬢』がブレイクした時に大慌てで資料集めに走ったのは他のエッセイで書いたのだが、歴史はその資料すら膨大に有るのだ。
笑い話として、『大友の姫巫女』における島津の扱いを例に出そう。
『大友の姫巫女』の珠姫はチートである。
半神で神力まで持って、東アジア有数のお金持ちで、西国二十数カ国に影響力を与えるチートお姫様である。
で、このお姫様の島津恐怖症が半端ない。
「六倍の戦力を用意しろ」と言ったスペオペの提督ではないが、十倍以上の戦力差がありながら決戦を回避し続けて現在そこで筆を止めている(ごめんなさい!)
で、その姿勢に「さっさと島津潰せよ!」という読者の声があった。
「で・き・る・か!!!!」(by 珠姫)
あの修羅の国の薩人チート連中は、十倍差をひっくり返しているからだ。
『木崎原の戦い』がそれだ。
知らない人が、この合戦を読んで、
「何このファンタジー。敵チートすぎじゃね?」
と怒っても無理は無い。
歴史を見るとこの時の島津は控えめに言って頭がおかしい。
『関ヶ原の中央突破』もそうだし、『耳川の戦い』で大友を、『沖田畷の戦い』で竜造寺を、『戸次川の戦い』で長宗我部をハメて壊滅に追い込んでいる。
史実がファンタジーなのだ。
これらを知った上で、数で島津を潰す?
その勇気と読者を納得させるだけの見せ場を貴方は作れますか?
このぐらいにしよう。
これはアニメなどの二次創作でも共通すると思う。
原典の物語に対して、敬意を持ってアレンジする以上避けては通れない道なので、心に刻んでおくように。