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第47話:〜動物園へ行ったら2〜

すいませんでした!

「やぁ、光君。久しぶり」


 後ろを振り返ると


「正人さん!」


 父さんの友人、この動物園経営者の北条ほうじょう 正人まさとさんがいた。


「いや〜それにしても、よく虎と仲良くなれたね」

「『仲良くなれたね』じゃないですよ! 一歩間違えれば死ぬところだったんですよ!」


 俺は虎を指差して訴える。


「あはは。大丈夫、大丈夫。一応、動物園の虎だから。なにか危害を加えたりしなければ攻撃してこないよ」

「攻撃してこない、してくるの問題じゃない! そもそも脱走させるな!」


 ゆっくりと、周囲を見る……やはりもぬけの殻だ。一人もいない。


 ここの動物園はいつからこんな無法地帯になったんだ? あぁ、さっきか。


 俺は一人納得して、虎の方に向けてた視線を正人さんに戻す。


「あれ? 今日って、休園してたっけ? 誰もいないや」

「虎が脱走したからです」


 あぁ〜〜〜この人疲れる。


 そもそも


「ここって脱走するほど設備がボロボロでしたっけ? そうは見えないんですが」

「あぁ、それ(虎)脱走したんじゃなくて散歩させてたんだよ」


 何処の世界に虎を散歩させる動物園があるんだよ。するんだったら首輪つけろ。


「あの、虎って何を餌にしてるかわかりますか?」

「愚問だね。勿論、肉に決まってるじゃないか」


 だったら何故、こんな人がうじゃうじゃ来るところで散歩させる。


 あ〜家帰ったら頭痛薬飲も。


「ところで、光君。君と会うのは何年ぶりかな?」


 え〜〜と、父さんと母さんの葬式以来だから…………。


「四年ぶりですね」


 あってるな? うん、あってる。俺は脳内で確かめる。


「四年ぶりか。大きくなったね」

「ありがとうございます」


 と、その時逃げたはずのレナが戻ってきた。この薄情者が。


「ヒカル大丈夫だった?」

「おかげさまで俺は、虎とタイマンするところだったよ」


 素っ気なく返す。マジで死ぬところだったんだからな、このヤロウ。


「うわ〜ヒカルが見事にグレてる」


 レナが笑いながら俺の気を取り戻そうとあれこれ言ってくる。

 無駄だ。今の俺の心は北極のようにヒューヒューと凍てつく風が吹いている。


「おや? 光君。この女の子は知り合い?」

「知りません」


 俺はさっきおいてけぼりにされた恨みをここで晴らす。


 その言葉にレナは迅速に否定する。


「嘘! おじさん、ヒカルが嘘ついてる! ボクはレナ・メイル・アルフエル。ヒカルの家に居候してます!」

「居候? ほほぉ……」


 何を思ったのか正人さんはレナを見た後に俺を見てニヤニヤする。


「光君。責任は―――」

「―――とらない」


 ったく、何にもしてないのに責任なんかとるかってぇの。


「ふむ。ツッコミは母親譲りか……」

「どうでもよくね!?」


 この人と喋ってると、なんかスゲー頭痛くなるんですけど。

 誰か代わる?


「しかし、居候とは………今時珍しいな」

「まったく、時代錯誤だ」

「え? 何、ボクが悪いの?」


 いや、悪くないさ。

 多分………。


 あれ? そういえば俺達、なんでこんなところで話しているんだ


 今日は動物と戦いに来たんじゃなくて動物を見に来たんじゃないのか?


「あの、そろそろ――」

「光君。レナちゃん。良かったら、動物のお世話する?」

「え?」


 レナの目が一瞬光ったような……。

 そんなにやりたいのか? 動物の世話。


「本当に? いいの?」

「そりゃ、こんな事態に巻き込んでしまったからね。それぐらいの償いを」


 動物の世話か……初めてだな……あ、ブレンドは別で。


「じゃあ、やらせてもらいますか」

「うん。ささ、まずは作業衣に着替えるからスタッフルームへ」


 正人さんは俺達を先導する。


「ただ働きゲット……」


 正人さんがボソッとなんか言ったが、あまり聞こえなかった。






「じゃあ、まずはエサをあげよう」

「わかりました。ところで何の動物に?」


 正人さんに連れてこられたのは檻が二重にもなってるところ。


 俺は昔から嫌な事に関する勘は異常に発達している。


 この時、俺の危険センサーはビンビンだった。


「さ、今回やってもらうのは――」

「――帰ります」

「何故!?」


 案内されたのは虎の小屋。つまり、死ねって事か。


「素人が虎と接して生きていけると思ってるんですか?」

「生きてるじゃん。大丈夫だよ。私の動物園の動物は大人しいよ」



 てな訳で俺は、雄のトラ。レナは雌のトラの方を相手にする事になった……のだが。


 ははは………何が大人しい? 嘘こけ。


「死ぬ!」


 生肉を持ちながら、虎からの猛攻を避けてる高校生っています? いたら是非とも、このピンチを脱する方法を教訓願いたい。


「レナ! 助けろ、助けて、助けてください!」

「ん〜〜こっちも忙しい〜〜『遊ぶのが』」


 おい、待てコラ。遊ぶのが、って聞こえたがふざけるな。


 畜生! なら、自分でなんとか、する!


 俺は虎からの猛攻を避けて、考える。


 考える。


 考える。


 結果、生肉を何故持ちながら逃げ回ってるんだろうという事を考えだした。

 どっかに投げすてればこっちに来ないんじゃね〜か?

 てな訳で俺は、生肉を虎の顔面目掛けてて投げ込む。


「これでどうだ?」


 見事、生肉は虎に命中した。そして、虎は生肉に夢中になったのだが。


「あれ?」


 僅か数秒で食い終わり標準は俺に再びロックオン。しかも手に生肉の臭いがついてるから、さぁ大変。


「助けてぇぇぇ!」





 夕方。


「いや〜〜今日はご苦労様でした〜〜」

「ご苦労さま〜〜」

「死ぬ……」


 俺はもう駄目。満身創痍です……。

 ていうか手に生肉の臭いがまだ……。


 もうぜって〜来ねぇ〜〜。


「まあまあヒカル。いい経験が出来たんじゃないの?」

「悪い経験なら出来たな」


 俺は軽く流して、正人さんの方に向く。


「なにはともあれレナが面白かったみたいだし、あ〜〜なんだ。貴重な経験をありがとうございました」

「いいよ、いいよ。こっちもタダ……ゴホン。面白かったし。また来てね」

「ぜって〜〜来ません」


 俺は腕時計を見て、そろそろ電車が来る事を思い出す。

 確か、この時間のを逃したら次まで30分もかかるんだよな……。


「正人さん。ちょ、そろそろ時間ないんで」

「あ、そうか。うん、じゃあね〜〜」


 レナがバイバイと、元気よく手を振って、俺達は正人さんと別れた。





「あ」

「どうしたのヒカル?」

「俺達、よく考えたらタダ働きじゃね?」

「あ…………」


 はかられた………。あんにゃろー。







「ハックション! 風邪かな? でも悪寒が…………」



第47話:〜動物園へ行ったら2〜を読んで頂きありがとうございます。 え〜〜今回は真に申し訳ありませんでした!色々と都合が重なり、小説を書くという事が出来ませんでした。これは非常に作者としてあるまじき行為です。本当にすいませんでした!ですが、絶対に遅れようと完結だけはさせたいと思いたいので、途中で止めるという事はないと思います。 では、これからも居候はヴァンパイア!をよろしくお願いします。

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