第46話:〜動物園へ行ったら〜
すいません。またもや更新が………
「うし、張り替え完了!」
ども、光です。
先日、暴君台風が通ったせいで我が家は雨漏りした。だから、今、壁紙を張り替えてたところ。
「ヒカル、終わった?」
「あぁ、終わった」
俺は壁紙を張り替える為乗っていた椅子から降りる。
そして恒例。仕事後の一杯。今日は緑茶だ。
それを、湯飲みに入れて啜る。
「ヒカルヒカル! お茶啜ってないで動物園行こう!」
レナが急に言い出す。おそらく、今、テレビで動物特集でもやっていたんだろう。
「動物園?」
聞き返す。まぁ、今日で夏休みは終わりだし、行ってもいいんだが。
「うん! ほら、前にバスケットボールやった時にヒカルと約束したじゃん! アレ!」
あ〜〜確か、負けた方はわがままを一つ聞くとかだっけ?
ちっ、覚えてたのか。
「つーか、それってチャラになったんじゃ……」
「なる訳ないじゃん! なに甘い事言ってるの」
チャラになってなかったのか。
しかし、動物園か。小さい頃を思い出す。
そういえば、父さんと母さんに手を引かれて、行ったけな……。
それで、動物園に着いてオランウータンを見に行ったら、父さんがフン投げられたっけ?
俺は緑茶を啜りながらしみじみと思う。
ヤバ……。
ふと、鏡を見ると涙目になってる自分がいた。
泣くな、俺。泣くなよ俺。泣くなったら! 夢村 光! こんなとこでは絶対泣けない! レナがいる! 泣いていいのは、一人になった時だけだ!
俺は自分に暗示をかけるように『泣くな』を心の中で連発した。
「ヒカル? 目赤い。どうしたの?」
「なんでもねぇよ……なんでも」
俺が言うとレナはこれ以上聞いちゃいけないと思ったのか、追求をしなかった。
それどころか、明るくして振る舞った。
「ヒカル! 早く行こうよ。楽しいと思うよ! ね? あ、ボク、ネグリジェ姿だから着替えてくる」
さんざん明るく振る舞った後、自室へ行ってしまった。
気使ってるのバレバレだっつーの。
緑茶を二度啜る。
だけど、いつまでも半泣きしてるなんて男じゃない! それに、メソメソしてたらレナにまた、気を使わせてしまう。
そして俺は立ち上がり頬を軽く叩いて気合いを入れる。
少し頬がジンジンするが、過去を忘れて今を楽しむのにはちょうどいい痛さだ。
「ヒカル。行こう!」
いつの間にか、着替えてたのか。
レナは居間にいた。
俺の周辺のやつらは、神出鬼没が多いな。
「あぁ」
俺達は居間から玄関へ向かい、外に出た。
電車にゆらりゆられて二十分。結構遠いところまで来たな〜〜と思う。
「ヒカル、動物園何処にあるの?」
「こっちだ」
俺はレナを先導して動物園へと向かう。
確か、父さんの友達が経営してる場所だったよな、今から向かう動物園は。
砂利が敷き詰めてある道を何分か進むとそれほどデカイとは言えないが動物園らしきものが見えてきた。
うん、やっぱ変わってないな。
入口にはパンダやライオンやらが描かれてる看板に、熊と鹿を混ぜたような奇妙な風船を持ったマスコットキャラ。
相変わらず趣味が悪いな。
俺達は金を払って中に入る。
しかし、私営でよくここまで大きく出来るものだ。
ぐるりと周囲を見回してから動物の方を見る。
そこには、二匹のキリンが仲よさ気に葉っぱをむしゃむしゃと食べている。
《パパ! ママ! 見てよ! 首長いよ。あれがキリンさんだね》
《そうよ。あの長い長い首でご飯を食べてるのよ》
《首、重くないのかな?》
《キリンさんは丈夫なんだぞ》
《へ〜〜。パパ、よく知ってるね〜〜》
《なんでも知ってるさ。はっはっは!》
「ヒカル、ねぇヒカル?」
「ん、あぁ、すまん」
思考がすっかりタイムスリップしていたみたいだ。レナが心配そうに、俺の服の裾を引っ張る。
「あ、ヒカルが治った」
「勝手に病気扱いにするな!」
俺は一喝して、歩きだす。その後を、レナが続く。
しばらくすると、ライオンや虎とか、肉食獣が飼育されてるコーナーに来た。
肉食獣達は観客を餌だと思っているのかいないのか、眼をギラギラさせてこちらを見ている。
「ヒカル、ライオン怖い」
お前の方が怖いよ、と言ってやりたい。近くには肉食と吸血。なんとも言えない。
と、その時、なんか周りが騒がしくなった。
「なんか騒がしいね」
「あぁ、一体どうしたんだろうな」
「あれ? あ、凄い、凄い!」
レナは何かを発見したみたいだ。
俺はレナの視線が向いてる先を見ると、驚愕。
「んな…………」
「ヒカル、ヒカル! 凄いね! ここの動物園って、自由に肉食獣が歩いていいんだ」
俺とレナが見てる先には虎。白い虎。ホワイトタイガー………。
観客は我先にと逃げ出している。
そして白い虎は威風堂々と歩いている。
「バカヤロー! あれは脱走したんだ!」
「え?」
「あ、ヤバ」
俺の声で白い虎はこちらに気付いたようだ。
ガルルルルル、と喉を鳴らして迫ってくる。
その距離、僅か十メートル。
常人が素手で戦ってかてる動物の大きさは犬ぐらいまでだと聞く…………。
「ヒカル、どうする?」
「はっはっは! 逃げるに決まってんだろ!」
俺はレナの手を引く……と思ったのだが、ありえない加速で一気に虎との距離を離すレナ。
周囲を見渡しても観客はいない。全員逃げたようだ。
「ヤバ…………」
つまり、餌候補は俺だけ。ドコモだけ。
しかも、逃げると言っても今更だが、虎の走るスピードは俺の走るスピードを遥かに越す。
つまり、背水の陣って訳だ。
「おいおい勘弁してくれよジョニー」
俺は自分でも何言ってるのか。こうなったら、この虎と仲良くなって切り抜けてやる。
「俺達の仲じゃないか」
ガルルルルル。
ギャー! 物凄い目付きで俺を睨でくる! 今すぐ俺を食い殺さんとする勢いだ。
「そんな怖い顔、ヘブッ」
いきなり俺に飛び付いてきて猫パンチならぬ、虎パンチを俺の顔面に浴びせてきた。
普通は気絶するぐらいの衝撃だが、俺は腐っても拳法をやっている。
身を捻らせて、威力を軽減した。
ったく。何処かの少年誌の執事じゃねえんだから。素手で虎に勝てるかっつーの。
「ん?」
俺はすぐさま、戦闘体型に入るのだが何故か虎は攻撃してこない。
むしろ、俺のズボンに頭をスリスリしてくる。
「懐いて………るのか?」
俺は恐る恐る手を伸ばして虎の頭を撫でる。
あ〜〜本当に仲良くなっちまった。
「ブラボーブラボー。流石、夢村さんの息子さんだ」
パチパチと拍手の音がする。
後ろを振り返ると。
「やぁ、光君。久しぶり」
すいません! 最近、体育祭の練習があり、帰ってきてからバッタンキュ〜〜〜なので中々小説が書けませんでした。それと、メール執筆機能で書いてるので下書きを間違えて削除してしまい、また書き直しです。ですから次の更新は未定です《九月中には更新します》本当、申し訳ありませんでした。後、毎回、『何々(サブタイトル)を読んで頂きありがとうございます』って書くのはやめにしました。なんか変な感じがしますので。では、これからも居候はヴァンパイア!をよろしくお願いします。読んで頂きありがとうございました。