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第43話:〜お祭りはあまり関係ない?〜

更新遅れました。

「宿題終わった〜〜」


 シャーペンをちゃぶ台の上に投げ捨て床に転がる。


 時刻は午後の六時三十分。


 ども、光です。

 一昨日旅行から帰ってきた俺達だが我が家は手入れしたなかった事もあって黒いカサカサしたものがキッチンや居間を占領してた。

 そいつらの内の一匹がこちらに飛んできた時、レナは奇声をあげて部屋に閉じこもった。


 あの時はマジ爆笑ものだったぜ。


 さて、早速バル〇ンを炊いて自分の部屋に行った俺だが、ここで重大な事に気付く。

 宿題、やってない!


 ということで今、宿題を必死に終わらせた訳です。

 彰は終わらせただろうか?


 ――あ〜宿題あったな〜。いいや、別に―――


 みたいな事になってるだろうな。ま、俺には関係ないけど。皆も、宿題やるときそんな感じにならないか? え? ならない? そうですか。


「ヒカル、ヒカル! 今日お祭りあるらしいよ! 行こ行こ!」


 友人達と遊んで帰ってきたレナは玄関から一目散に走ってきて、俺の前にちょこんと座る。


「あ〜祭りか。そういやぁ、今年はまだ行ってないな〜〜」

「ね? だから行こ?」


 宿題は終わったし、やることはない。しかも、あっちの方で飯を調達しちまえば、晩御飯つくらなくて、すむな。

 だけど昨日、こいつと寿さんに金を幾分か巻き上げられたしなぁ〜金あるか?


「少し待ってろ」


 レナにそう言って、部屋に行く。

 え〜〜と、今俺の財布に入ってるのは………。



 50000円。

 電気代、ガス代、水道代、家賃……は家主さんにごねてオマケしてもらってるけど、正直ギリギリだな。

 後、銀行には100000円近く、あったっけ? え〜〜と電気代は……。






 俺は紙に電気代等の公共料金をどのくらい使うかを、計算して結局、10000円ぐらい余ったので行く事にした。

 はぁ〜〜やっぱり俺はあまいな。


「ヒカル、このりんご飴甘いよ」

「俺ぐらいな」


 俺が思っていた事とレナが言った事が一部、一致したので適当に返す。


 レナは、なんのこと? と首を傾げてる。


「いや、なんでもない……それより、何だ? それは?」


 俺が指差したのはレナが着てる衣服。


「えへへ〜カナエに貰ったんだ〜。似合ってる?」


 レナが嬉しそうにクルッと一回転。

 レナの童顔とマッチしてるそれは、金魚の柄がついた和服だった。


「あぁ、似合ってる」


 俺はレナに似合ってる事を伝え、周りを見る。


 確か待ち合わせはコンビニの前だったよな。


 実は、彰達も誘ってある。レナが皆で行った方が楽しいから、と言うので。

 俺はどっちでも良かったんだけど。


 だから、祭りの屋台はまだ全然見て回ってないのだ。

 俺は屋台よりも、録画するのを忘れたテレビ番組を観たい。

 俺はそんな気持ちでいると、遠くの歩道橋から彰と幸治が来るのがわかる。


「寿さんはどうしたんだろう?」

「後ろにいますよ」

「へ?」


 突然、後ろの方から寿さんの声がしたので振り返ると、花柄の和服に身を包んだ寿さん。

 う〜〜ん。昔に戻っても全然大丈夫だな、こりゃ。

 それほど、寿さんは現代離れしてる雰囲気を出している。


 大和撫子。再びその言葉が浮かんだ。


 もし、過去から来ましたと寿さんが言ったなら信じていいと思うくらいに。


「わっ、カナエ綺麗!」

「レナさんも可愛いですよ」


 そんな二人がお互いを褒めっ合ってると彰達がきた。

 その瞬間、彰と幸治は二人を見て息が詰まったような顔をした。

 すかさず、俺の耳に顔を近付けて感動の声で同意を求めるように話す。


「ひ、光。あれは反則だよな? な? なぁぁ!」

「夢村。右に同じだ」

「バカ野郎――と言いたいところだが、いかせん俺も男。あれは、マジで度肝を抜かれたぞ」


 俺達は互いに感想を述べまくる。

 そんな自分達を噂されてるとは、知らずにレナと寿さんは早くお祭り行こうと言ってきた。


「あぁ、うん」


 俺は目を真ん丸にしながら受け答えをしてしまった。


「よし、じゃあ行こう〜〜」


 レナの声と共に俺達は屋台が列ぶ……俺的には屋台行列と呼ぶ。

 その屋台行列の中にレナ達と入っていった。




 さっきよりも、奥へ来たせいか人が混雑している。お互いがお互いはぐれないようにしてるのだが、こういう時はやっぱりはぐれてしまうものなのだ。


「あいつら、何処行ったんだ?」


 俺は独り言を呟きながら、この人間地獄を進んでいく。

 多分、寿さんはそのうち見付かる。

 だって


「いや、キャ!」


 こうなるから。


 おそらくナンパされてるだろう寿さんの声が聞こえた方へ、向かった。


 でも、さっきの声は嫌がってるというより、喜んでたような……。


 そして、人脈を掻き分けて現地につくと、寿さんは確かにいた。


「きゃ、くすぐったい!」


 俺の目の前では、子犬の雑種だろうか? 毛並みは少しボサッとしていて茶色い毛、尻尾の辺りだけが白くなっている。


 寿さんはそれに押し倒されて、首や顔等をペロペロ舐められている。


 嫌がりながらも、少し嬉しそうな寿さんが愛くるしい。


「寿さん。何ですか? その犬」


 俺にやっと気付いたのか、顔を上げる寿さん。


「わかりません。いきなり、飛び付いてきて……首輪してないんです。おそらく、捨てられたのかと」


 寿さんが話している間も、ペロペロ舐めつづける子犬。


 相当懐かれてるな。


「寿さん。飼えば?」

「はい。できれば……でも、学校がありますし」


 そうか。あまりにも大人っぽい寿さんだから、同級生だという事を忘れていた。

 じゃあ、どうすれば。


「お、光! こんな所にいたのか! なんか、香苗ちゃんにいかがわしい事してないだろうな!」

「してたら、許さないからね! ヒカル!」

「俺もだぞ夢村!」


 いつの間にか見える範囲にいたらしい。

 子犬を見てたから気付かなかった。


「あれ? どうしたの? その子犬」


 寿さんの抱いてる子犬を指差して不思議そうに見つめるレナ。

 彰と幸治も同じようだった。


 それをわかりやすく説明する寿さん。


「う〜ん。カナエは学生一人暮しだし、ボク達も学生だから……どうすればいいんだろう」

「幸治の家は?」

「あぁ、無理だ。親父が犬、苦手なんだよ。なんでも昔、金〇を噛まれそうになったとかで……」


 見かけによらず面白いな幸治の父さん。


「彰の家はどうだ?」

「こっちも無理だ。姉貴がいるしな。それこそ、犬なんか連れてったら犬刺しが出来ちまう」


 そういえば彰の家って確か、変なお姉さんがいたよな。うん、彰の家に連れてったら間違いなく彰の言う通り、犬刺しが出来るな。


 う〜〜ん、どうしようかな?


「あの……私、飼ってみます」

「え?」


 その場にいた皆の声が重なった。


「ちょ、寿さん。マジですか?」

「はい。マジです。本気と書いてマジなんです」


 大丈夫か? 寿さん、なんかヌけてる部分があるしな。犬のエサを間違って食べちゃうじゃないか?

 あ、知ってます? 犬のエサって人が食べてもいい事を。


「でも、カナエ。犬の世話の仕方知ってるの?」

「こ、これから覚えていきます」


 危なっかしい。この場にいた皆がそう思っただろう。

 俺も自分で気付く程、苦笑している。


「む。皆さん、信用してませんね」


 寿さんは拗ねながら子犬を抱いて立ち上がる。


 犬は人の気持ちを敏感に察知するって聞いた事がある。

 どうやら、この子犬はいい主人を選んだようだな。


「さ、屋台をもっと廻ろうか」

「そうだな」

「寿さん。帰り、犬の飼い方の本買っていけば?」

「はい、そうします」





 俺達は一通り屋台を見終わり、帰る時間になった。


「じゃ、また今度な」

「今度っていつだ?」

「いや、それはわからん」


 彰と幸治が訳分からんやり取りをしてる中、俺とレナと寿さんは頭を捻っていた。


 原因はこの辺りにペットショップがないこと。

 飼い方が載ってる本は図書館や幸治の家の書斎を見れば見付かると思うけど、ドッグフード等は見付からない。

 それに、リードや首輪も。


 そうしてると彰と幸治は自分達の巣へ帰ってしまい、残されたのは俺とレナと寿さん。

 寿さんもいち早く、犬のエサを買わなきゃいけないだとか言って、走って帰ってしまった。


 …………あ、転びそうになった。


 さて、本当に残ったのは俺とレナ。


「なんか久しぶりだな。二人で帰るの」

「うん。そうだね」


 俺達も巣へ帰る為、止めていた脚を動かす。


 静寂な夜。いたずらな風に頬を撫でられて、上を向くと光り輝く満月がこの発展した世界を照らす。

 その月光は発展させた地球人を祝ってるのか、それとも発展させすぎた地球人に洗礼を与えているのか。

 月を見るとそう思ってしまう。満月だとより一層。


 ふと、満月からレナの方へ視線を向けると何か言いたそうな顔をしている。


「どうした?」

「ボク達が初めて会った日も、満月だったよね」

「あぁ、そうだな〜」


 俺は再び満月を見る。


 俺は確か近道を使ってて、そしたらレナが怪我してて………ん?


「なんでお前、怪我してたんだ?」

「え!? あ……それは……」


 なんか、スゲー言いにくそうな顔してるな。


 無理ならいいか。


「ま、いいや。無理して言う事じゃない」

「うん。ごめん……」

「謝る必要無いって」

「うん…………」


 しばらく無言で歩いてると、レナがいきなり手を繋いできた。

 レナの目は何処か不安そうだった。


「え〜〜と、どうした?」

「握ってていい?」

「あ……あぁ、いいぞ」


 俺は優しく握り返す。


 レナの手は凄く温もりがあり、幼児のみたいに小さかった。


 こんな手からよく、あんな怪力が出せるな。いくら、ヴァンパイアでも不思議でしょうがない。


 レナは無言で俯いている。


 あ〜〜なんか、凄いモヤモヤした雰囲気だな。


 俺はそんな空気に耐え兼ねて、レナが何か言う仕種をしてたが、先に話した。


「よし、晩飯何にするか〜〜」

「え? さっき焼きそば食べたんじゃ……」

「まだ食う! なんかそんな気分だ!」


 俺が言い切ると、レナは笑い出した。


「あはは! じゃあボクも食べるなり〜〜」

「何処の真似だ? それは」

「コロ〇ケの」

「似てないぞ?」


 俺は本気で似てないと思い、ツッコむ。


 はぁ〜無理言ったけどまだ、飯食えるかな?



 う〜ん……無理かも………。


第43話:〜お祭りはあまり関係ない?〜を読んで頂きありがとうございます。その……風邪を引いてしまいまして、更新が出来ませんでした。誠にお詫び申し上げます。以後、健康に気をつけて執筆したいと思います。では、これからも居候はヴァンパイア!をよろしくお願いします。次回の更新は日曜日or月曜日です。

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