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第42話:〜旅行(三日目)〜

更新が午後になってしまいました。

「人類と言うものは、朝から始まり夜に終わる。

朝は嫌と言ってもやってくる……あぁ、過ぎ去りし日々よ……我に栄光イテッ」

「うっとうしい!」


 手の平で軽く彰の頭を叩く。

 どうも、光です。

 旅行、三日目。

 遂に、旅行は終わりです。

 それが嫌なのか彰は、変な詩を唄いだした。


 全く、通り掛かる人が変な目で見てくるから止めてほしい。


「だってさ、だってさ! この旅行が終わったら学校だぜ? いきなり、天国から地獄だぜ?」

「お前はサボってる事が多いから変わんねぇだろうが! それにまだ一週間あるだろ!」


 さて、彰は放っておいて俺達は遊園地へと向かっている。

 何故、遊園地に行く事になったかと言うと、幸治が『遊園地あるぞ』と口走った為、レナと寿さんが行きたいと駄々をこねたからだ。


 なんで、遊園地なんか行きたがるかね、全く。


 疲れるだけだと、思うんだが……。


「ヒカル、ヒカル。楽しみだね♪」


 そういや、レナって人と話す時、名前を二回繰り返す事が多いような……。


「どうしたの?」

「いや、なんでもない」


 俺はレナから視線を外して再び前へ向ける。

 はぁ〜〜『パッと行く』機能が欲しい。

 心からそう思う。


「さ、着いたぞ」


 ………パッと行く機能はあるのかもしれない。





「じゃ、まずは何を乗りましょうか?」


 寿さんが言うと彰が即座に、反応。


「はい、はい! ジョットコースター」

「他には?」


 彰以外、誰も手を挙げないのでジョットコースターに乗る事にした………。



「うぇ、気持ち悪い」

「大丈夫ですか?」


 予想はしてたよ? 予想はしてたが、やはり皆乗るのでどうしてもパスと言えなかった、哀れな光です。

 案の定、目が回り戦闘不能になった俺は近くにあったベンチに座りひたすら吐き気を抑えてる。


 俺の傍らには寿さんだけ。後の奴らは遊びに行っている。

 薄情な奴らめ……末代まで呪ってやりたいぜ。


「本当、大丈夫ですか?」


 この間、二日酔いを看病してくれたお返しとばかりに、俺な背中を摩る寿さん。

 あっ、止めてくれ、寿さん。知ってる? 背中を摩られると逆に吐き気がする事を。ほら、もう喉のところまで汚物が。


「どうしたんですか? なんかさっきより気分が悪く見えますが」

「いえ、お気づかい無く」


 言えない。なんか、必死に俺の背中を摩る寿さんが愛らしい。

 はっ?! 何を考えてんだ、俺は。

 そうだ。水を買いに行こう! そこに自販機があるし。なんか色々と水で流し込もう。


「寿さん。俺、水買ってきます。飲みたい物ありますか?」

「では、私はサイダーを」

「わかりました」


 俺は自販機へと歩いて行く。

 あ〜〜やっと、地獄から開放された。


 えっと、水は130円で、サイダーは150円か。


 俺は300円を入れて、水とサイダーのボタンを押す。

 それらを取り出すと、ベンチへと向かうのだが……うん、早速始まってましたよ〜〜ナンパが。


 はぁ〜〜寿さんは『絡まれ星』の下に生まれたのだろうか?


「お姉ちゃん、少し遊ぼう、な?」

「止めろよ〜〜怖がってんじゃんこの子〜」


 本当に止めろと言う気がないくせに。


 ていうか、何で遊園地にこんな奴らがいるんだよ。


 まぁ、いいや。とりあえず、助けるか。


「遊ぼうよ? ね――ヘブっ!」

「あ〜取り込み中のところ悪いんだが、どいてくれるかな? あんたらの彼女がいなくて遊園地行ってる事情なんか放っておいてさ」


 言葉は穏便に身体は乱暴に動かす。


「んだと、おまえ!」

「その反応と身体の遅さはカメと同じぐらいだと思え」


 俺は鼻ピアスに蹴りをお見舞いしてあげる。

 そうすると、続々と群がるナンパ者。観客も増えてくる。


「であえ、であえ〜〜」


 いつの時代だよ。


 俺は後ろから来る奴を顔面蹴りをし、前から来る奴の右手を掴み後ろに回る。

 そいつを盾にして前から来る奴を蹴る。なんか蹴ってばっかりだな。


「なんだ、こいつ! 強いんだけど」


 リーダーらしき奴が俺を畏怖の目で見てくる。

 やだな……なんか、こんな目で見られるの。


「撤退だ、撤退」


 あっ、と言う暇すら無く、逃げて行くナンパ者達。


 久しぶりに身体動かしたな〜。


「寿さん、大丈夫?」

「えっ……あ、はい!」


 何かを考えてたのか、素っ頓狂な声を出す。


「あの、観覧車に……乗りませんか?」


 寿さんがいきなり、観覧車に乗るよう誘う。


「え? あ〜〜いいですよ。暇ですし、あいつら返って来ませんし」

「本当ですか?! じゃあ、早速行きましょう!」


 寿さんは満面の笑みを浮かべて俺の腕を掴み、引っ張り観覧車乗り場に行こうとする。


 何でこんな喜んでんだろう。

 ま、喜んでくれるなら別にいいか。


 俺と寿さんは観覧車乗り場へと向かった……。





「うわぁ〜〜綺麗ですねぇ〜」

「そうだなぁ〜」


 観覧車に乗った俺と寿さん。

 観覧車からの景色は絶景だ。

 あまりの絶景に寿さんは感激の声を漏らす。


「ふふっ、こうやってしてると付き合ってるみたいですね」

「へ?」


 あまりの突拍子な言葉に俺は思わずマヌケな声を出してしまう。


「光さん、何動揺してるんですか?」

「いや、あまりにも唐突だったもので」


 俺は目を逸らして、地上を見る。


 人が豆粒のようだ。神も、こんな気持ちなのかな?


「光さん、レナさんの事………どう思っていますか?」

「レナの事?」

「はい。好きとか嫌いとか普通とか」


 何が聞きたいんだ? 寿さんは? 意味が全くわからない。


「別に好きだけど?」

「え?! そ、そうなんですか………」


 落胆する寿さん。だから、なんでだ?


 う〜〜ん、あっ! そうか!


「寿さんの事も好きですよ?」

「へっ?! 一体……」

「あと、彰や幸治……あいつら、変なところあるけど好きだ」

「へ?」


 二度も続けてマヌケな声を出す寿さん。

 どうしたんだろう。

 俺はただ、友人として好きって言ってるだけなのに。


「あの………私が言いたいのはそういう事じゃなくてですね……その……」

「あ! 寿さん! レナ達だ!」


 俺は観覧車から手を振ってみるが気付かない。


「あ、寿さんも手振ってみな―――えっ………」


 窓の方から寿さんの方に振り向いた俺。


 眼前には寿さんの顔。優しい瞳は今は閉じられていて、刹那……。


 寿さんの唇が俺のそれに重なった。

 触れるか触れないかぐらいの浅いキス。


 頭がオーバーヒートした機械のように熱い。


 頭の中は変な曲が流れている。


 数秒しただろうか? ゆっくりと唇が離れる。目の前には頬を紅潮させた寿さん。


「あの……こ、寿さん?」

「え、いや、い、今のはいつも助けてもらってるお礼です! お礼!」

「え? お礼?」

「はい! そうです!」


 なんかスゲー違和感があるけど……ん〜〜本人がお礼って言ってるんだからお礼だろ、うん。


 だから、俺は笑顔でありがとう。






 イタタタタ………あの後、何故かビンタされました。この鈍感さん♪と笑顔で。

 確かに笑顔だったが殺気がかなり発っていた。


 今も俺が話し掛けると殺気が少なからず出る。


 俺が何をした?


「香苗……様?」

「なんでしょうか? 光さん?」

「なんでもないでございます」


 怖い! 目が笑ってないよ! くっ、脚が震えるぞこんちくしょう! 動け、動けよ、動けぇぃぃ!


 そのなんとも言いがたい空気が続いてた時、ちょうど彰達が何回か乗ったであろうジョットコースターから返ってきた。


「ナイス! 普段は役に立たなくて、トラブルメーカーのお前達も今日はナイスだ」

「なんか、酷い事言ってないか?」

「気にするな」


 俺は笑顔で彰の腕を掴み、振る。


「まぁ、いいや。ん? なんかお前……唇が紅いぞ?」

「へ? あ」


 さっきのだ! 寿さんは少しだけ口紅を付けてたんだ。

 マズい! バレたら多分マズい! 本能がそう告げている。


 よし、ここは。


「あっ! さっき、ナンパ野郎と喧嘩してさ〜〜多分、返り血……そう返り血だよ!」

「返り血? それにしてはなんか赤黒くないような……」

「あれ? ヒカルのこれって口紅じゃないの?」


 三人は一斉に俺を哀れみの視線で見る。おそらく、俺に変な趣味でもあると思っているのだろ。


「いや、違う! 断じて否! 寿さん、これって返り血だよね?」

「はい……光さんが私を不届き者から助けてくれた時に」


 よし、ナイスアドリブ力!


「私がお礼として口付けした時の口紅です♪」


 うそ〜〜〜〜〜ん♪


 ここまできて、俺を裏切る? 寿さ〜〜ん。


「いや、これは……」


 俺は必死に否定するが


『成敗!』


 三人の声が重なり、俺を殺さんとばかり襲い掛かって来た。






 夕方。


 もう帰る時間だ。


 俺は切り傷多数とタンコブ一つとアザが何個か……後は肋の骨とか。


 さてさて、今はヘリコプターの中にいる。


 まだ、色んな傷は痛むがこんなの気にしてたら生きていけない。


「お前ら少しは手加減しろよ」

「お前が悪い」

「神様のご意思だ」

「ふ〜〜〜んだ!」


 男二人はただの八つ当たりだろうがレナは相当にご立腹の様子。


 だから、何故に怒る。


「光さん、反省してくださいね♪」

「確信犯が言うな」

「皆さん、口付けをした後、光さんが…………」

「わかりました。反省します。しますから」


 そんなこんなで、俺達の短いようで長い旅行が終わったとさ……。







 余談だが、あの後、レナと寿さんの機嫌を取る為にパフェやケーキを奢ったのは言うまでもない……節約しなきゃ……。


第42話:〜旅行(三日目)を読んで頂きありがとうございます。前書きにも書いた通り、更新が午後になってしまいました。決して、寝てたからとかでは無いですよ? それは置いといて、実はサブタイトルの題名に、:←これがついてないやつがあります。別になんも支障はありませんが、暇な時間違い捜しを見つけるような感覚で『あ、これだ。作者のやつ抜けてやんの〜』とか思って見つけてみましょう。なんも賞品はありませんが……。では、これからも居候はヴァンパイア!をよろしくお願いします!次回の更新は水曜日or木曜日です。

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