第40話:〜旅行(二日目)〜
後書きに重要な事が書いてあるので、読み終わったら、一応目を通しておいて下さい。よろしくお願いします。
「お−−−ひ−−かる。起き−−−光」
ん?
俺が最初に見たのは彰の顔。
次に見たのは、鏡に反射された自分の顔だった。
「朝、起きたらお前がベットにいなかったからビクッたぜ」
俺は…………ああ……ロビーで寝てしまったのか。
「ああ、すまん。少しロビーで考え事してたら寝ちまったみたいだ」
「ま、別にいいけど」
俺は頭を掻きながら、ソファーから立つ。
しっかし、昨日からモヤモヤしてた気持ちは無くなったな〜〜。やっぱり、原因がわかったからであろうか?
「光。ホテルで朝食用意してくれてるってよ。行こうぜ」
彰がさっさとロビーの奥にある、食堂へと行ってしまう。
確かに。
さっきから、いい匂いがする。
多分、料理のだ。
そう思った途端、腹が空き始め俺は勝手に足が食堂へと向かって行く。
食堂のドアを開けると、結構な広さがあった。
ま、当たり前か……何千ものの客がここで飯を食うんだから。
「お〜〜い、光。こっち、こっち」
いっぱいテーブルがあるなか、こちら側から見て奥の方のテーブルに彰が俺を呼んでいる。
口にいっぱい料理を頬張りながら。
うぉい! はしたねぇな。
俺は彰達のテーブルにつくとレナの横に一つ席があいていたので、そこに座る。
テーブルには………何もなかった………
「おい。俺の飯は?」
「あぁ……彰さんが全部食べてしまいました」
それを聞いて、俺は彰の方へ向く。
彰は何にも知らないと言った顔で口笛を吹いてる。
「ん? どうした? 光」
この、人の物を盗んで食べた奴にはお仕置きが必要だな。
「とりあえず、お前をシバク」
「へっ、やれるもんなら……ゲフっ! なにも、本気でやらなくても」
「シバクと言っただろ?」
俺は彰に鳩尾を強打して、制裁を与える。
食べ物の怨みは怖いぜ、コノヤロウ。
「で、今日はどうするんだ?」
お茶を飲みながら、幸治に聞く。
「ああ、今日は自由行動でいいだろ。この島でも見て回れば?」
「ん、自由行動か。やっと、一人になれるぜ〜〜」
「光さん、一人が好きな様ですけど、何故ですか? みんなと、一緒の方が面白いと思いますけど……」
「あぁ、俺、元々一人暮らしだったからさ〜〜なんつ〜か、一人の方が落ち着く訳よ」
欠伸をしながら、手を振って答える。
でも、最近は昔よりかは一人は好まないけどな。
とは言っても一人は好きである。
「じゃ、俺は飯がどっかの誰かさんのせいで、無くなったのでいち早く、自由行動に移るわ」
俺は席を立ち上がり、ドアへと向かおうとする。
「おう。そうだ、夢村」
そこで呼び止められたので、振り向く。
「ん、なんだ?」
「今日、温泉入らねぇ? 佐藤も」
「お、いいな。光も勿論入るよな?」
「いや…………俺は温泉一人でゆったりしたいんだけど」
「なんだぁ? お前、下半身に自信がない、痛い痛い、痛いです」
お前、一応食事中だぞ。コラ。わかってんですか〜〜〜。
俺は彰の耳を引っ張りながら、二人でしかできない会話で、説教する。
「ったく。たまには、皆で入るのも悪くねぇかもしれねぇ」
「狙い目は可愛い子ちゃんがいる、八時………じゃなくて、人が少ない九時な」
幸治が訂正したのは、可愛い子ちゃん、と言った時にレナと寿さんが、ひそかな殺気を出したからであろう。まだ、殺気が少し出てるよ。怖いよ………。
「じゃ、俺は一人ぶらりと、自由行動にしますか」
俺は食堂から出る。
「とは言っても、どうしますかねぇ……」
ロビーのソファーにもたれ掛かり、考える。
とりあえず、歩き回るか? いや、それは労力の無駄だ……。
だけど、やる事はないし………仕方ない、歩き回るか。
俺はなんか楽しい事ないかなぁ〜と思いながら、ロビーの自動ドアをくぐり、外へ行った。
〜彰視点〜
光が行った後、オレ達は食堂で光の話しをしていた。
「あの……彰さん」
「ん、なに?」
「どうして、光さんはあんなに、一人を好むんですか?」
香苗ちゃんが、オレに聞いてくる。
う〜ん、言ってもいいのかな〜? ま、大丈夫だろう。
「光は、中国から帰って来た時………中学三年なんだけど」
「あいつ、友達いなかったんだよ」
「あ、オレの台詞返せ」
幸治が話しに割って入る。
しっかし、光の面子まるつぶれか? 中学生の頃、友達がいなかったなんて。
「へ〜〜〜まあ、なんとなく、そんな感じがしますね」
『そんな感じ』って……光が段々かわいそうになってきた……。
「夢村、それでいじめられてたんだよ」
「えっ、ヒカルが!?」
レナちゃんが驚きの声を出す。
別に驚く事はない。
だって………
「ま、夢村、後で自分をいじめた奴を半殺しにして、ある意味ボスに君臨してたけどな」
光………その時のお前のあだ名知ってるか? ムッツリボスだぞ? 普段、喋んないから。
「それで、夢村は誰も信じられ無くなった……だから、一人が好きなんだよ」
「へ〜〜〜〜そうなんだ〜〜」
香苗ちゃんが納得するんじゃなくてレナちゃんが納得。
そこで香苗ちゃんから新たな質問。
「一人が好きな理由はわかりましたけど、何で今は彰さん達と仲が良いんですか?」
「それは………オレと幸治は中学生の頃かなり荒れてたんだよ。それで、段々名声が上がっていく光をムカついて、決闘を申しこんだんだよ」
「アキラ、それ嫉みだよ?」
「彰さん、いつの時代の人ですか?」
「……………………」
二人して酷い。
レナちゃんは、哀れみ。
香苗ちゃんは馬鹿にしたような目で見てくる。
オレ泣きそう。
「ま、結果は彰の惨敗だったよな」
「あぁ。最初、光は『めんどくさいから帰る』って言って逃げ出したんだ」
「光さんのやりそうな事ですね」
「だけど、逃げるなって、胸倉掴みかかったらいつの間にか手刀を首にくらってて気絶したんだ」
あの時はかなりの不意打ちだった。なにせ、胸倉掴んだ途端、いきなり手刀が飛んできたんだから。
あれは、予想しなかった。
「で? 何で仲良くなったんですか?」
続きが聞きたいと、香苗ちゃんはせかしてくる。
「ああ。それでさ、ある日オレと幸治が他校の奴らに裏路地ではめられたんだよ。しかも、相手は武器持ってるし、負けると思ったんだけど」
「そこで、光さんが?」
「あ、ああ」
ヤバ、鳥肌たってきた。
「どうしたんですか?」
「いや、ちょっと」
あの時の光は鬼人のようだった。
思い出しただけで震えがくる。
そこで、オレが説明出来ないと思うと幸治が説明する。
「ちょうど夢村が盆栽を買って帰る途中らしかったんだ。で、裏路地でオレ達を見つけて駆け付けて来たんだ」
「何ですか? 彰さん達と光さんはまだ仲良くないはずなのに」
「違う。俺達を別に気にしたんじゃない。その戦いかたに気にしたんだ。あいつは二対多数は卑怯だって口だししに来ただけだったんだ」
「なんか、めちゃめちゃですね」
香苗ちゃんが呆れて言う。
あの時は誰もが呆れたと思う。
「それで、他校の不良が夢村を脅す為に木刀を振ったんだ。そしたら、たまたま盆栽に当たって、夢村の目が変わった……ピキーンとな」
そこで、幸治も震える。
やっぱり怖いんだな。
再びオレが説明を始める。
「あの後は凄かったぜ。光は不良が持ってた木刀を奪って二つに折ると、それを使って不良達を一網打尽にしたんだ。まるで、剣自体が生きて動いてるような……それに光が鬼のような形相だった事から『悪魔の剣を使う鬼人』って通り名だったんだぜ」
「そりゃ、また凄い通り名ですね」
「だな。それから、オレ達は本当に悪い事をしないようになったんだ。光を見てたらそうなった。後、遊び始めたのが次の日からかな?」
オレは過去があやふやなので疑問形にする。
「そうだったんですか………」
「あ、そろそろ遊びに行こうぜ! この辺、確かゲームセンターあったって言ってたよな?」
「ああ」
「よし、行くか! ほら、皆、行こうぜ!」
オレは皆を立ち上がらせて、食堂から出る。
「ここまで来てゲームセンターかよ」
「やる事ないし、いいじゃん」
「うん、ボクも行ってみたい!」
「私も、一人じゃ寂しいですから」
そうして、オレ達はゲームセンターへと向かう事になった………。
〜光視点〜
あれ? 今回の、俺の視点、彰のよりも少ないような…………
第40話:〜旅行(二日目)〜を読んで頂きありがとうございます。今回も更新遅れてしまいたした。新作を考えてたものですから……すいません。後、そろそろ夏休みの宿題と家庭教師の宿題をやらないと、大変な事になるので、お休みさせてもらいます。多分、八月の終わりには更新を再開出来るので、それまで、しばらくお待ち下さいね。では、これからも居候はヴァンパイア!をよろしくお願いします。