第22話:〜二日酔いの寿さん〜
「ヒカルのバカァーー!!」
「そんな大きな声出すな。寿さん寝てるんだぞ」
朝、七時五十二分。
今日はレナとデートに行く約束をしていた……のだが寿さんの二日酔い(俺が原因なので)の看病をする為、かわいそうだと思うがドタキャンさせてもらった。
その途端に顔を真っ赤にして怒りだした。なんとか、なだめようとするが全然効果がなくむしろ逆効果。
扱いにくい……。
「ヒカルが悪いんでしょ! ボクとのデートすっぽかすんだから!」
「だからな〜寿さんが二日酔いで−−」
「−−ヒカルが悪いんじゃん」
「う……それはそうだけど……」
まあ俺にも反省すべき点はある。
だけど、もう少し静かにしてくんねぇかな? 寿さんが起きちまう……。
「二人……共……どうした……んです?」
俺の自室から出てくる寿さん。ちなみに、寿さんは一人暮らしだ。ただ、俺とは違って親は生きていて田舎に居るらしい。
寿さんはいつもと違って顔色が悪く、はあはあと、口呼吸をしてる。
「大丈夫? カナエ?」
レナが寿さんに近寄り、心配する。
寿さんが頭を抑えながら心配に答える。
「うん……頭が……ライブコンサートしてて……胃の中がプロレスしてるだけ……だから」
それってかなりヤバいのでは? 要約すると頭がすごく痛くて、もの凄い気持ち悪いという事では?
俺も寿さんに歩みより、そして謝る。
「ごめんなさい、寿さん。まさか、酒が苦手なんて思いもしませんでした」
「ははっ……大丈夫……です。気にして……おぇ〜〜」
話してる途中、俺の目の前で嘔吐する寿さん。もし、漫画だったらモザイクがかかってもいいくらいのだしっぷり。
ご飯を食べながら読んでる方、または食べた後の方申し訳ありませんでした。
少々、お待ち下さい。
終わった……。
俺は寿さんの嘔吐物をティッシュで拭いたり、雑巾で綺麗にした。そして、最後にはファ〇リーズを床にかけておいた。
これで臭いはとれた。
そろそろ朝ご飯の時間。
「お〜いレナ! 準備を手伝ってくれ」
「わかった〜〜」
俺は手を洗い、料理をつくる態勢に。レナも俺と同じ事をする。
レナは料理の完成品は最悪なものの、ジャガ芋の皮剥きや包丁さばきはうまい。俺には及ばんがな。
ていうか先程、レナと俺は喧嘩してたのでは? と、思いの皆さん。実は、寿さんの嘔吐物を拭いてた時にレナと仲直りした。
仲直りしたきっかけは、寿さんがさらに嘔吐した。その時は、洗面所でしてたのだが……。
それを見て、俺とレナはさすがに寿さんをかわいそうだと思い、わがまま言っていたレナも手伝うと言ってくれ、意志合意。
その肝心の寿さんは、エチケット袋を片手にテレビを観ている。
寝てろよ、寿さん。悪化するぞ。
「ヒカル〜〜これでいいの?」
「おう」
レナに切ってもらったのは消化しやすい食べ物として、定番のリンゴ。
それを半分ミキサーにかけて、粉々にする。
リンゴジュースの完成! え? これだけかって? いやいや、そんな訳ありませんよ。
ここからが本番。
「さて、アクエリアス、アクエリアス、っと」
冷蔵庫の中を漁る。
お! 見つけた。
アクエリアスを持って皿に少しいれる。それとブルーベリーとバナナ、リンゴを入れる。
そうするとフルーツぶち込み料理完成。
料理と言える程じゃないんだが……。消化にはいいだろう。
「寿さん。ご飯出来たよ。フルーツだけ、だけど」
「あ……ありがとうございます」
寿さんは立ち上がり、ちゃぶ台の前まで移動し、両手を合わせる。
俺とレナも座り両手を合わせて
『いただきます♪』
米もおかずもない、朝ご飯。
初めてです。
「あ! おいしい」
「本当、です。おいしい……」
「おう。オレもうまいと思うぜ」
三人から好評価……。
三人!? 『オレ』!? まさか……。
「光、お前何つくブベラッ!!」
言い切る前にぶっ飛ばした。
超ド変態を……。
そのまま、2メートル弱飛んでいく。
「彰……お前どっから、わいてくるんだ……」
「イテテテ……本気で殴りやがって」
「いいから答えろ」
玄関の鍵は閉めてあるはず……なのに何故?
「ったく、企業秘密だぜ〜〜そこ」
彰が示した先はベランダ。成る程……って二階だぞここ! どうやったらここにこれるんだよ? それにベランダの窓の鍵は?
その説明は彰が勝手にしてくれた。ちなみにレナと寿さんはまだア然としてる。そりゃそうだろう……いきなり、自分達が飯を食ってる時に変態さんが入ってきたんだから……。
「耳の穴よくかっぽじって聞けよぉ〜。まず、二階まではカギヅメで昇り、窓の鍵はガラスを少し切って………」
俺は彰が喋ってる途中、首ねっこを掴みんで玄関前に放り出した。
勢いよく、ドアを閉める。
「光ーー悪かった〜〜。だから、開けてくれぇ〜〜」
俺は鮮やかに無視をして、居間に戻る。
「あの……彰さん放り出していいんですか?」
「ああ、百パ〜〜セントいい」
外から声が聞こえる。
『お姉さん、オレに少し付き合ってくんな〜〜い♪』
「いいみたいですね……」
寿さんが呆れたように言う。
ったく、窓ぶっ壊しやがって……今度あったら修理代、請求してやる。
「う……頭痛いです……」
突然、寿さんが頭を抑えてうずくまる。
「寿さん寝てなよ」
「はい……そうさせてもらいます……」
頭を抑えながら寿さんは俺の自室に行く。
残った俺とレナは、皿を片付ける。
途中、俺は手を止めてレナに聞いた。
「レナ、本当にいいのか? デート破棄しちゃって」
「いいよ。だって、カナエがかわいそうだったし、今度行けばいいよ」
「そうか……」
レナは俺に笑顔を見せる。
なんだろう……レナの笑顔がいつもより可愛く見えた。
だから俺はレナの頭に手をのっけて、髪をくしゃくしゃした。レナはくすぐったそうにしてたが、振り払う事はしなかった。
「ヒカル……。その……」
「ん? なんだ?」
レナはゆっくり口を開いた。
「−−−だよ」
「なんだって? 聞こえなかったぞ」
レナは俯いたまま頬を紅くそめている。
そして何事もなかったように
「ううん、なんでもない。だって卑怯だもん」
「何が卑怯なんだよ」
「だからなんでもな〜い♪」
皿洗いを終わったレナはトテトテと自室に向かってった。
う〜ん、卑怯ってなんの事だろうなぁ〜〜。
考えても無駄だったので、買い物に行く事にした。
「さぁ〜〜て、今日の晩ご飯、なににしようかなぁ〜〜」
レナに買い物に行くと伝えて、鼻歌をしながら玄関から外に出てった。
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