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第15話:〜お皿を買いに行ったら……〜

今回は暴走気味です。

「ごちそうさま♪」

「ほい、お粗末様」


 レナとの朝ご飯を食べ終わり、立ちあがる。

 今日の皿洗い当番は、俺だから皿を持ち、キッチンへ。

 と、皿を綺麗にして、棚にいれようとした時、ハプニングがおきた。


「あ………」


 皿が俺の手をウナギのようにスルリと抜け、万有引力の法則で地面へ激突。皿の割れる音がする。


「どうしたの!?」


 レナがびっくりして、こちらを向く。


「いや、皿を落としただけだ」


 俺は落ちた皿の破片を拾い上げ袋に入れる。


「ヒカル〜〜お皿、一枚足りなくなっちゃったよ?」

「ああ、そうだな」


 俺は元々、皿を余分に買わないのでこういう時は不便だ。

 しょうがない、買いに行くか……。


「よし、今日は学校サボって皿買いに行くぞ」

「へ? そんな事してのいいの?」


 レナが驚いた顔をする。


「そんな驚く顔するなよ。それに、あの校長の事だ。一日や二日サボったところで何も言われやしないさ」


 ていうか、本当に何も言われない。レナが来る前も一回サボったんだが担任にすら何も言われなかった。

 いいのか? そんなんで……。


「わかった。ヒカルがそういうなら、お皿買いに行く〜〜」

「よし、決まりだな」


 俺達は早速パジャマを脱ぎ、普段着に着替える。あ、勿論、自分の部屋で着替えてるぞ。


 着替え終わると、鍵を取りに居間に向かう。

 ふと、テレビに今日の星座占いをやっていた。


《今日のアンラッキーはおうし座! 困難が降り懸かりま〜す♪とりあえず、部屋で寝てた方が身の為ですよ〜♪》


 なんちゅ〜アナウンサーだ。私語ぺらぺらじゃねぇか。

 それに、♪を付けんなよ! アンラッキーの人だろ? なに楽しそうにしてるんだよ! 人の不幸は蜜の味ってか?

 俺はとりあえず、アナウンサーにツッコミをいれといた。


 ところで俺、おうし座なんだけど………。


 半信半疑ながら、テレビのチャンネルを変える。

 レナはまだ着替えてるらしい。

 まったく、女ってのは外見ばっか気にしやがって……内面の方を気にしろっつ〜の!


「ん?」


 チャンネルを8チャンに変えたのだが、なんかニュースをやっていた。


《え〜先程、宝石店を狙った強盗がおり、依然逃走中。負傷者は出ておりませんが、お気をつけ下さい。犯人の顔はこちらですので、もし見かけたらご連絡下さい》


 アナウンサーがそう言うと犯人の顔がテレビの画面にビックアップされて、画面左下に電話番号がでている。

 犯人は若かった。まだ、20歳前後だろう。

 目元が鋭く、高い鼻。ニヤリっていう言葉が似合いそうな少し吊り上がった口。そして、右の頬には軽い一筋の傷があった。


 俺はこういう情報には敏感だ。特にマフィアに両親を殺されてからなんて、犯人という言葉だけで過剰に敏感するようになった。


 犯人の顔を頭にインプットしておく。念の為だ。


「ヒカル〜〜着替え終わったよ」


 レナがトタトタと自室から居間に来る。


 真ん中に星の柄が付いた黒いシャツに以前買った白いカーディガアンを羽織っている。さらに黒のロングスカートがレナの幼い顔立ちとギャップを見せている。


「どう? 似合う?」


 レナはしどろもどろに聞いてくる。

 似合ってるには似合ってるが……


「お前はもう少し子供っぽい服を着た方が…………いやなんでもない」


 レナは俺が言い終わる前に睨んでくる。


 今のは完全に殺気が篭っていた。怖い……。

 ていうかそんなに、子供っぽい服を着たくないのか? 星が付いたシャツ着てるだけで、充分子供っぽいのだが。

 だが、これを言ったら身体が干からびるまで血を吸い取られるので止めておこう。


「さ、さぁ、行くか」


 俺は話しを逸らし、家を出た。





 ザワザワ……


 以前行った(二話参照)ストリートに入ってすぐ向かって左。

 最近できたと噂のインテリアショップがある。

 噂によると名前は変だが、家具の1から10までなんでも揃っているらしい。

 とりあえず、そこに行ってみたのだが………。


『インテリアいらっしゃ〜い』


 マンション五階建てぐらいの大きさのデパート。

 そして看板にはそう書かれていた。さらに、夜でも見やすいように電球付き。


 …………噂通りのネームだ。


「ヒカル……ここ、入るの?」


 レナがなんというか、ここ入ったら馬鹿なんじゃないの? 的な顔をしている。

 う〜ん。どうするべきか……。


 俺が店の前で悩んでると、一組のカップルが店から出て来た。

 彼氏の手にはビニール袋。透明で中が透けて見える。


「あれは……」


 ビニール袋の中にある一枚の皿。

 鮮明に花柄で鮮明に造ってあるのがここからでもよく見える。

 そして、価格も見えた。


 900円………


 あれだけの細工がしてあって、900円。

 本能がこれは買わない手はないという。


「よし、入るぞ。レナ」

「えっ!? 本当?」

「ああ本当だ」

「頭、お熱があるの? ボク、看病してあげようか?」


 レナがすごい、可哀相な人を見る目で見てくる。

 しかも、少しバカにされてるし……。


「じゃあお前はそこで待ってろ、俺だけ行ってくる」


 少し、不機嫌に言う。


「えっ! ちょっ! 待ってよぉ〜〜」


 レナがさっきのバカにした態度と打って変わって泣きそうな目でついてくる。

 初めからそうすればいいものを……。

 まあいいや。とりあえず、入るか。


 俺達は中に入って行った。





「噂には聞いてたが、結構な品揃えだな〜」

「家具がいっぱ〜い」


 中に入った途端ど肝を抜かれた。広いのは知っていたが、一階、一階、所せましにベッド類、ソファー類、棚類、机類、置物類……等々、そして、お目当ての皿類があった。

 一つの皿を取り、値段を見る。


 その皿は中央部に十字架が細工してあり、回りにはコスモスっぽい花が細工してあった。


「レナ、これはどうだ?」

「ん? どれどれ……」


 レナが皿を取る。

 だが、すぐに俺に皿を返して俺を殴る。

 皿を落としそうになったがなんとかキャッチする。


「イテテテテ……バカ! いきなり何すんだ!」


 何? 反抗期?! 反抗したいお年頃? お母さん許しませんよッ?


「だって…………」


 レナが俺の持ってる皿を指差す。

 これが一体なんなん………。


 十字架………。


「あ」


 今更、レナがヴァンパイアって気が付いた。


「え? 『あ』って事はわざとじゃなかったの?」

「お前何言ってんだ? わざとな訳ねぇよ?」


 本当にわざとじゃなかった。相手が本気で嫌がるいたずらは俺はしない。


「そんな……ごめん……ヒカル。おもいっきり殴っちゃったね……」


 反省の意志を見せているし、気付けなかった俺にも非はある。

 それに、こんな所で泣きじゃくられたら周りの皆さんにも迷惑がかかる。

 ので


「わかった、わかった。だから、泣くな。俺も悪いんだし……」

「うぅ…………ん? 血……」

「へ?」


 殴られた唇の回りを手で軽く摩る。

 血が出ていた。それも、深く切ったらしくドバドバと。

 そういや〜こいつ結構、力あったんだよな〜〜。

 そんな事を考えてると、レナが普段より低い声で聞いてきた。


「ヒカル……最近、血……飲ませてくれてなかったよね?」

「あ、ああ………それがどうした……」


 何が言いたいんだろうか? それは、俺が気付いた時には遅かった。


「バカッ! 待てッ! ここは人前……いや、それ以前に、んム!!」


 俺の唇をレナのそれが塞ぐ。そして、付着した血を堪能する。


「バッ、やめッ、痛、傷に、当たってる」


 レナはさらに舌で血の出てる傷口をなめる。

 意識飛んでるのか? こいつ……それより、周りの視線が痛い。突き刺さるようだ。


「レナ、もう、いいだろ! 後で、もっと吸わせてやるから」


 レナは俺の唇から自分のそれを放す。

 ようやくわかってくれたか……と思ったが、違った。

 ふぅ〜、と一息ついてまたさっきのようにしてくる。

 放そうとしてもやっぱり力が強く、放したとしても周りから『なに、あの彼氏〜〜女性からの必死の要求を阻むなんて〜』的な発言をされるのがオチだ。


 結局、俺はされるがままになっていた……。




 二分後。


 レナは唇を放す。


 俺の、俺のファーストキスがぁぁ……こんな終わり方なんて……。

 俺、もうお婿に行けない……。

 落ち込む、俺。


 一方、そんな状態にしたレナは恍惚感に浸っていた。


「あはっ、ヒカルごめんねぇ〜〜♪」

「笑い事じゃねぇーー」


 今も口にはレナの唾液がべったりこん。

 ぐれるぞ、このヤロウ。

 つ〜か、セクシャルハラスメントだ! 略してセクハラだ! 横暴だぁ!!


「ヒカル♪早く、お皿買って帰ろ♪」

「くっ……」


 ったく、このヴァンパイアは……。



 俺は適当に皿を選び、レジへ持って行く。レナを無視。


「ヒカル〜〜無視しないでぇ〜〜」

「………………」


 俺は勿論、無言。

 さっきの仕打ちは一生忘れん。





 そんなこんなで、会計を済ませてデパートから出る。

 さっきからレナが喋らなくなった。

 気になったので後ろを振り返ると、レナは泣くのを我慢していた。


 その顔は何故かほほえましい光景だった。

 このヴァンパイアは……。


「何泣きそうな顔してんだよ」

「だって、ヒカルが無視するんだもん」


 まったく、俺は涙に弱いね〜〜。


「本当、お前は反則だよ」


 レナの頭に手を乗せてくしゃくしゃする。

 レナは一瞬驚いた顔をするが、すぐにくすぐったそうな顔をになった。



「さ、止まってないで帰ろうか」

「うん」


 俺達は歩き始めた。

 レナの事、一瞬、可愛いと思った……。





 途中。

 俺は預金を銀行から出す為、銀行に向かう。

 レナも一緒だ。




 しばらく歩いてると、銀行が見えた。

 自動ドアを開けて入る。


「え〜と、暗証番号はっと……」


 コンピュータの指示に従い、預金を出す。


「ごめん、レナ。早く帰れなくて」

「いいよ、別に。銀行にも来てみたかったしね♪」


 初めてなのか銀行……。どうりで、さっきからキョロキョロしてる訳だ。

 ちなみに、視線をぶつけられるのはいつも俺です。

 理不尽だな。


 と、そんな時。


 バンッ!


 一発の銃声。

 銃声のした方を見ると、ドアの前には今朝ニュースで見た男がいた……。



第15話:〜お皿を買いに行ったら……〜を読んで頂きありがとうございます。え〜〜今回は結構な暴走でした。作者もびっくりです。今回の話は次話に続きますので……。では、これからも居候はヴァンパイアをよろしくお願いします。次回の更新は水曜、又は遅れて木曜になるかもしれません……。

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