第14話:〜世直しという名の喧嘩〜
「世直ししようぜ! 世直し!」
「いきなりなんなんだお前は……」
ここ、俺の家で勝手に上がって、勝手に冷蔵庫開けて勝手に飲み物を取り出して飲んでるバカが居ます。住居不法侵入で訴えるぞバカ野郎。
誰が勝手に上がってきたって? こいつしかいなでしょ……。
「なにが世直しだ。一人でやってくれ、彰」
「だってさ〜聞いてくれよ〜〜。今日さ〜〜」
世直しとかいうバカげた事を思いついたにはなにか理由があるようだ。
「でさ〜〜こうで(以下略)」
作者、略したよ!
しょうがない、俺が説明しよう。
彰は今日ここに来る時、ナンパしてる少年二人を見つけたそうだ。それでナンパしてる少年は女性を無理矢理連れて行こうとしたらしい。
怒った彰は少年をボコボコにしたと言ってるが何故ボコる? お前も充分、ナンパしてるだろう。
「お前も人の事言えないぞ」
「だから聞けって。女の子はな、もっと、やさ〜しく、やさ〜しく諭すようにナンパするもんなんだ。それを最近の奴らは分かってない! 矯正し治さなければ!」
「だから、手伝えと?」
「そうだ」
「却下!」
そんな理由で外に行きたくない。今日はゆっくり家で寝てるプランなんだから。
ちなみにレナは自室で寝てる。
「いいじゃんかぁ〜。それくらいぃ〜〜」
「今日ハ日曜日。ワカリマスカ? Sundayデスヨ? 家でユックリする日ナノデス。だから、オヒキトリ願いマ〜ス」
「一週間分の学食でどうだ?」
「ナンダトォ〜?!」
俺は金銭に関わると、凄い早さで反応する。片言になったが気にしない。
学食一週間分って事は、二千円以上は他の事に使えるぞ。
あぁ、でも今日はゆっくりしてたいし………。
そんな俺に彰はジュースをコップから飲みほしながら追撃。
「今なら、レナちゃんの分も払ってやる」
「レナの分って……何故?」
「だってこの家、レナちゃんの匂いがする」
「警察に行け変態野郎」
「うっさいやい! 女の子の匂いは分かるんだい!」
なんて奴だ……。
ここに変態のプロフェッショナルが居る。
おーい、けぇ〜さぁ〜つ。変態がいま〜す。
捕まえたら二階級特進クラスですよぉ〜? なんなら俺が警察に引き出してやろうか?
「ところでさっきの話しだが、どうだ? ん?」
さっきの話しといえば……
俺の中のダラケ野郎とケチ野郎が闘いを始めた。
ダラケ『金じゃ買えない今日があるぜ〜それに今月は金残ってるんだろ。このまま寝てようぜ』
ケチ『いや、今月は金残ってるって言っても風前の灯。節約できる時に節約を』
ダラケ『色々とうっせ〜んだよ。黙ってろボケが』
ケチ『そちらこそ黙りなさい』
ダラケ『なんだと〜いいか! 寝る事は……ギャ!』
えぇい! 黙ってろ、俺のダラケ野郎。節約してるんだから今はこっちを優先だ!
「わかった。それでいい」
「よっしゃ、なら早速……」
「その前にお前の頭をどうにかしろ。お前が世直しされるぞ」
ぴっかぴかの金髪。
彰、それははっきり言って社会から見放されるよ? 警察のブラックリストに載るよ?
「ああ、いいんだよ。これは、相手から見た時オレのキャラを説明するためにこうしてるんだ」
「なるほど、バカでアホで常識はずれで酷くかわいそうな奴だな」
「ひどいッ! どうして!!」
何故か女の声になる彰。
きもッ! こいつがやると恐ろしく気持ち悪い。今朝食った、パンがリバースしそうだ。
「やめてくれ、そのソプラノボイスをやめてくれ」
「わかった、わかったからオレの前でリバースするなよ」
「元はと言えばお前のせいだ」
「あっ! これから不良のたまり場になってる裏の公園に行こうと思う。OK?」
彰に軽く流された!
くそ! ツッコミ役としての不覚! ところで、ツッコミ役ってキャラ薄くないか?
「聞いてるのか? 裏の公園に行くぞ」
「あ、ああ」
裏の公園か……。
ここのアパートの裏にある公園だ。よく、不良の集会が行われてる。
一度通った事があるが四十から五十くらい、人が居た。
その時に寿さんが、からまれていたから助けた。
今思えば家に帰る途中だったのかも……。
「よし行くか! レッツ世直し!」
こうして俺達は世直しという名の喧嘩をしに言った。
レナを家に置いたまま……。
「うひょ〜〜集まってるなぁ〜〜」
裏の公園では今日も不良さん達がわざわざ集会をしている。
そして、道に居る女の子に話しかけてた。
「ん? あれは寿さん?」
また捕まってるのか……。
「なに?! 天使の香苗ちゃんに手を出してるだと! こうしてはおれん、抹殺!」
「あっ! 勝手に行くなってッ!」
不良集団に突っ込む彰。
その後を追う俺。
「なんだぁてめ、ギャッ!!」
有無を言わさず殴りかかる彰。
最後まで言わせてあげようぜ……かわいそうだろ……。
「あれ? 彰さんに、光さん?」
寿さんがこっちに気付いたようだ。
「やぁ、寿さん。また、からまれてたの?」
「はい……すいません……。でも、何故私なんか……」
それは、あなたが凄く美少女だからですよ。
「まあいいや。ちょっと離れてて、今、彰がボコボコにしてるから」
彰、暴走。
「おらおらおららららぁぁーー!!! やる気あんのかお前らぁーーー!」
ドカ、バキャ、ダス、、グハッ、バキューン、タスケテーー
またか……しかも、銃撃ってるし! 止めろよ!
「あの、大丈夫なんですか? あの人達………」
「わからん。とりあえず、止めに行く」
寿さんから離れて、彰の近くに行き首に手刀をいれる。
「うッ! ………」
バタッ!
「ようやくおさまっ………てないか」
周りを見る。
どうやらさっきの『バキューン』はおもちゃの火薬銃だったようだ。
安心するのもつかの間、不良さん達が襲いかかって来た。
「死ねや、コラァーー」
うーん。今日は眠いのになぁーー。
あっ、でもこれをやらないと学食おごってもらえないのか……。
よし! 今は不可抗力だな。
やるか……。
数も少ないし……。
「みんなごめん。ここでやられてもらう」
三人同時に来る。
一人の攻撃をかわして、足を引っ掛ける。そうすると、勝手に自滅。
次に二人の攻撃は一人の腕を掴んで後ろに回る。そして人質にとり、相手が困ってる隙に人質にとった奴をもう一人の方に投げ二人事、回し蹴りで片付ける。
わずか、五秒。
それは相手もびっくりしたのか、怯んだ。
「な、なんだあいつ! さっきの奴よりかやばいぞ?!」
さてと、逃げるか。
無駄な殺生は避けるべきだからな。
そう判断すると彰の襟首を掴み、寿さんの所に戻る。
「さて家に戻りますか」
「あの………」
「ん?」
寿さんを見ると驚いてる。
そんなに驚く事か?
「いつもあんな事をしてるんですか?」
「いや、自分か誰かを守る時だけだよ? なんで?」
「今、私欲があったような気がしたんですけど……」
「うん、まったく無いから安心して♪」
「そうですか……よかった……」
油断ならない。
「俺はこのまま帰るけど、寿さんはどうするんですか?」
「じゃあ光さんの家に少しだけ寄っててもいいですか?」
「はい、いいですよ」
〜〜レナ視点〜〜
光が家から出た少し後。
「ん………よく寝たぁ〜〜〜」
ボクはベッドからおりて居間に向かう。
廊下を歩いてると、違和感に気付いた。
人の気配がしない。
一応、ヒカルの事を呼んでみる。
「ヒカル〜」
……………。
呼んでみるが返事がない。
居間に行ってみたがコップが一つ置いてあるだけで誰もいない。
何処に行っちゃったんだろ……。昼寝する時に、出かける時は一声かけてって言ったのに……。
まさか、ボクに嫌気がさして出てっちゃったのかも………。
そうだったらボク……。
次第に涙が目に浮かぶ。でも、泣いちゃいけないと思い我慢する。
そして、ヒカルが帰って来たらバカッと言おうと心に誓い玄関前で待つ。
しばらく待ってたら、玄関のドアが開いた……。
〜〜光視点〜〜
家に戻った俺だが、レナがすんごい泣きそうな顔して玄関前にたたずんでいた。
「レナ、お前ここで何してるんだ?」
「ヒカル………なんで勝手に出てっちゃったの?」
「いや、その………」
「なんで一声かけてくれなかったの?」
「すまん、忘れてた……」
「バカッ! ヒカルが居なくて淋しかったんだからね!」
そう言うやいなや、レナは俺に抱き着いてくる。
ほんわりとした、女の子の匂い。
「バっ! 抱き着くなって………ひッ!」
後ろ、寿さんから殺気が感じる。
半端なく、強い殺気が。
そして後ろを振り向くと寿さんは笑顔だった。
笑顔だった………が、目がちっとも笑ってない。
「あの寿さん? どうしたんですか?」
おどおど聞く。
「女の子を泣かせるのはよく無いと思いますよ? それによく二人でそんないちゃいちゃできますね? はっきり言って恥ずかしくないんですか、人前で?」
言葉の一つ、一つが怖い……。
逃げなきゃヤバい。わかってるけど足が動いてくれない。
「ヒカル……もしかしてボクの事放っておいてカナエと遊んでたんだ………」
レナと寿さん両方から殺気が……。
ヤバい、殺気だけで殺されそうだ……。
二人共、腕をあげてパーの形を作る。
いつもの俺ならたやすく防御できただろうが今は無理。
『ヒカル(光さん)のバカぁーーー!』
刹那、パーが両頬にぶつかり意識がとんだ。
くそ、理不尽だ………。
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